第48話 弥生と百合子!



 

 高校生の弥生が、ヤクザの白川組長にオモチャにされてしまった事件。

 その傷は想像を絶する思いとなって弥生を苦しめた。


 百合子はあの時、こんな事態になるとは夢にも思っていなかった。いつも美味しい所を持って行ってしまう弥生が許せなかっただけなのに……。


 ヤクザの組長に犯されているなど知る由の無い百合子。

 こんな恐ろしい事態になって居ようとは夢にも思っていなかった。只々、弥生の女王様ぶりが鼻について不満が爆発した。只それだけだったのだ。


 一方の弥生も百合子との付き合いを一切断ち切り、無視して、あの時にどんな事が起こっていたか、口が腐っても言えなかった。そんな恥ずかしい話誰に言えよう。



 ◆▽◆

 弥生は高校3年生の時に廊下伝いに、偶然を装い山城家の庭に出たのだが、実は偶然を装って山城家の庭に出ていた。


 百合子とは完全に絶交して、喧嘩別れしているにも拘らず、理由の分からない百合子が思い余って度々電話して来ていた。そして…余りにもしつこいので一度だけ電話に出た。


 だけど……何故無視しているか、理由など言える訳もない。そんな屈辱的な事実を口が腐っても言える事ではない。

「何でも無いのよ。ともかく……もう友達関係は無かったコトに!」その一点張りで通した。すると最後に百合子はこんな事を言った。


「弥生が、何も言ってくれないのなら仕方ないわ……でもね?……私だって弥生に……不満が有ったのよ。だって……いつだって……私の好きな男の子が……弥生を好きになるから……」


「だからと言って……何でレディース総長のケイに会わせたのよ?」


「私はチ-マ-の加奈子と親しくなったけど……まさか……そんな友達が……弥生にに酷い事はしなかったでしょう?……弥生があんまり女王様然とするのが……ウウウ(´;ω;`)ウゥゥワァワァ~~ン😭ワァワァ~~ン😭気に食わなかっただけなのヨ……だから…手加減してねって言っといたけど?」


「フン!もう良いわ……だから…何?」


「弥生一体あの日何が有ったの?教えてよ」


「何も……何も…何も無かったわ!」


「私達ず~っと友達だったじゃない、水臭い!何もなかったのなら……また友達でいましょうよ……」


「だから…百合子?私に何か用?」


「弥生…今お母さんの病気で、山城病院に通っているでしょう?私も心配で……」


「ありがとう」


「アッそれと……?実は…血の繋がらない従兄、陽介の現状が知りたいの?」


「分かった?機会があったら様子を探っておくね?」


 こうして…廊下伝いに、山城家の庭に出たのだった。


 ◆▽◆

 実は…百合子は、親戚の法事やお墓参りで顔を合わせて以来、一方的に陽介に好意を寄せていた。親戚なので一緒に食事に行ったりしていたのだが、最近山城家に赴いても達也だけは顔を出してくれるが、陽介は百合子がいるにも拘らず顔も出さない。


 弥生が電話に出てくれたのを良い事に安心し切って、百合子は弥生のお母さんが、山城産婦人科に入院している事を知っているので、あれ以来頻繫に電話で陽介に対する思いを弥生に話していた。


「ハ~イ百合子の気持ちそれとなく……話して見るね」


「本当にごめんなさいね!」


(百合子は安心しきって心の内を……私に話してくれるけど……)弥生の復讐が始まる。


(私がどんな酷い目に遭ったと思っているの……許せない!今に見てらっしゃい……ウッフッフッフ!こんな恥ずかしい話、人にも絶対に言えない。私がどんなに苦しんだと思っているの?)


 じゃ~?達也と陽介と弥生の恋愛劇は最初から計画的だったって事?


 ◆▽

「何も無かったみたいだけど……あんな酷い事したのに本当にごめんなさい。陽介が最近私を避けているのよ。何かあったのかな~?陽介に電話を掛けても出てくれないの。虫のいい話だけど聞き出して欲しいのよ。一生に一度のお願い。頼みます。お願いします!」百合子から矢継ぎ早の質問攻撃に遭う弥生。


「じゃ~!今度一緒に陽介さんと3人で会わない?」


「良いの~?私の事許してくれるの~?」


「もう終わった事ヨ!」


 そして……3人は渋谷ハチ公前で待ち合わせをして、近くの喫茶店に入った。百合子は久しぶりに会えた嬉しさと、会って貰えなかった不満で開口一番


「どうしていたの~?私が家に行っても全然出て来ないし、電話してもいないし~?私を避けていた?」


「医学部は勉強が大変だから、ゴメン!ゴメン!別に避けているつもりは無かったんだ。勉強で忙しくて。あっ!それと百合子の親友弥生さんとは、お付き合い始めた所なんだ。これからも弥生さん共々仲良くしよう!」


「そうなのよ!百合子。私達付き合っているのよ!」

 百合子の顔色が見る見る青ざめて行く。


「ああああ~!陽介の顔が見れたから安心したわ。私チョット用事を思い出したから悪いけど帰るわ」


(一体どういう事?陽介の事はあれ程好きだと伝えてあるのに、またもや私の一番大切なものを奪い取る気?許せない!)


 そしてその日の夕方、頭にきた百合子は弥生の家に直行した。


 ””ピンポ~ン ピンポ~ン””すると弥生のお母さんが出て来た。


「あ~ら!久しぶりね!じゃ~弥生の部屋にどうぞ」


 弥生の部屋に通された百合子は開口一番、弥生に怒りをぶちまけた。


「酷いじゃないの~!私があれだけ思い詰めて弥生に頼んだのに、何故私の好きな人にチョッカイ出すのよ。酷いじゃないの?」


「あなたが私にした事から……したらウッフッフッフ?たいした事では……あっ😱」 


 あの日組長に「この事を話したら家族諸共も殺してやる!」と言われた事を思い出した弥生は、強姦された話は口が裂けても話せない。そう思い口をつぐむ弥生。



 ◆▽◆


 月日が流れて……

 やがて百合子は、あんなに恋焦がれた陽介なのだが、弥生が相手では無理だと悟り両親の勧めで結婚した。


 だが、夫の浮気が原因でたった2年の結婚生活に終止符を打っていた。そして1歳の息子を連れて実家に出戻りしていた。



 離婚の半年前くらいから実家に戻った百合子は家が近所なので、また息子同士が同い年という事もあり度々陽介家を訪れていた。


 忙しい陽介の息子遥斗と百合子の息子淳太郎は同い年という事もあり、よく一緒に陽介のマンションで2人の子供の子守をしている。


 その日はあいにく陽介も休み。百合子は甲斐甲斐しく陽介の食事の準備や子供達の面倒で大忙し。2人の子供達はすっかり疲れ果てて眠り込んでいる。


 シ―ンと静まり返った部屋に男と女2人だけの空間が広がる。


 百合子はとうとう自分の気持ちを抑えることが出来ず、今まで押し殺していた気持ちを陽介にぶつけた。


 ソファーに座っている陽介に抱き付き「陽介……私はず~っと前から陽介が好きだったの。陽介は私の事どう思っているの?」


「何を言っているんだよ。俺達親戚じゃないか?それから俺結婚して子供もいるし……」


「そんな事関係ない。遠い親戚だし、血は繋がっていないじゃないの。私は結婚なんか望まない」そして強引に唇を押し付けた。


「ダッダ駄目だよ!俺はそんな気持ちは無い」

 陽介に拒絶された百合子は、ショックで涙が溢れ出し抑えることが出来ない。


「ウウウワ(´;ω;`)ウゥゥァワァ~~ン😭ワァワァ~~ン😭」


「ゴメン!ゴメン!」

 余りにも百合子が泣くので陽介は百合子を思わず抱きしめた。


 ◆▽◆

 いくら陽介が百合子にバリアを張っていても、それでも…陽介の息子遥斗と百合子の息子淳太郎は同い年という事もあり非常に仲良し。頻繫に2人の子供の子守を引き受ける百合子。


 最近陽介のマンションに行っても貴理子が居ない。

 どうしたのだろうか?


「陽介……最近貴理子さん見掛けないけど……」


「嗚呼……貴理子に男が出来たんだ」


 百合子は独身の身の上。

(そうだ今度こそ陽介を私の者に……)


「陽介……私今日泊って行く……私と結婚してくれとは言わないから……私そんな重い女になりたくないの」


 陽介が眠るベッドに潜り込んだ貴理子。

 抱き合う2人。👄.:*:・'°☆💋

 

 こうして…陽介と百合子は男と女の関係になってしまった。


 ◆▽

 男と女の関係になったと言えども…とてもじゃないが結婚してくれそうにない陽介。そう思い…思い悩む百合子。

 そんなある日、思いもも寄らない嬉しい事態が起こる。陽介と貴理子が離婚をしたのだ。

(これで……やっと陽介を私の者に出来るかも知れない?)


 そんな、やっと陽介と晴れて堂々と付き合える。上手く行ったら結婚出来るかも知れない。期待に胸を膨らませていたにも拘らず、どこからともなく漏れ聞こえてくる噂に耳を疑う。弥生の子供樹里亜が陽介の子供だと言うのだ。


(エエエエ————ッ!だって弥生は達也さんと結婚しているではないか?貴理子と別れたから、今度こそ!と思ったのに……)


 

(やっと私の者に出来るかも知れないと思っていたのに、もう2人は切っても切れない深い愛情で結ばれ、いやそれ以上の完全に身も心も一つになっている。ましてや愛の結晶まで授かっているだと——!許せない!許せない!許せない!2人の一番大切な宝物樹里亜を殺してしまえ!)


犯人は百合子なのだろか………?





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