第45話 樹里亜殺害を企てた張本人は一体誰なのか!貴理子??






 2007年4月✕日⋆✰🌸‘*・*


 麗らかな春先だと言うのに浮かない顔の貴理子………。


 貴理子の里は産婦人科を開業しているが、兄が引き継いでからというもの倒産の危機に瀕している。


 お坊ちゃん育ちの兄豊は、あまり使用しない高額医療機器等をメーカ-営業マンの口車に乗せられ、勧められるがままに購入してる。



 実は貴理子の実家は非配偶者間人工授精(AID)を実施している病院。

 他人の精子を使った人工授精を手掛ける産婦人科。


 新たなドナ-(提供者)の確保が困難になってきている昨今。

『出自を知る権利』を理由に将来公表される可能性への懸念。

 少子化、更にはドナ―不足の為に患者さんも激減。


 それに加えて、先代院長程の技量と人柄の備わっていない、甘やかされ放題に育ったお坊ちゃんの兄豊は、かなりの負債を抱えている。


 貴理子はそんな兄でも、たった2人っきりの兄妹救いたい一心なのだ。それなのに元義父母の執拗な嫌がらせに心身共に疲れ切っている。


(誰のお陰でこの病院が立派に存続出来ていると思っているの?私が居たからでしょう。それをあんな役立たずの厄介者可愛さに、私を追い出そうなど以ての外。それから私がここを追い出されたら、勤務医として今の半分にも満たない給料で生活しなくてはならない。また私が里に戻り病院を兄と切り盛りすれば良いのだけれど……負債額が余りにも多くて、例え里の病院を手伝っても焼け石に水。どんな事をしてもこの病院にしがみ付いて兄の病院を救いたい。そして優秀な成績の遥斗を、この病院の次期理事長にしなくては!それには……あの成績優秀な樹里亜が邪魔だ!絶対義父母は遥斗ではなく樹里亜を、この病院の跡継ぎにと遺書を残すに決まっている。今更離婚した弱い立場の私が、この病院を支配するには遥斗しか残っていない。どんな事をしても遥斗を、この病院の次期理事長に据えなければ……その為には樹里亜が邪魔だ!いっその事、事故に見せかけて殺したい!)


 とんでもない事を考える貴理子……。


 それだけ貴理子は切羽詰まっている。このまま放っておけば確実に、里の病院は倒産する。何とかしなくては………?


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