第26話 謎の封書!
1998年9月中旬
爽やかな秋風が心地よい季節となり⋆*⋆*
青空に真っ白な飛行機雲が、モクモクと鮮やかに一直線の線を描く。
こんな秋空の下やっと待ち望んだ樹里亜の誕生。
達也は嬉しくて嬉しくて自慢の娘樹里亜を、休憩時間のほんのわずかな時間にも娘見たさに病院から5分余りのマンションに毎日毎日通っている。
また、それに飽き足らずわざわざ病院に連れてきての従業員達にお披露目三昧。
こんな幸せ一杯の達也だが、ある日差出人不明の謎の封書が達也宛に届いた。
すると、そこには達也が一番恐れていた事が書かれてあった。
パソコンで入力した文面には…………。
『樹里亜ちゃんは達也の子供では無い。陽介と弥生の子供です』
一体誰がこんな事を?
達也は早速DNA親子鑑定を法科学鑑定研究所に依頼した。
医師だから誰でもDNA鑑定出来るものではない。
臨床遺伝子専門医認定試験という狭き門を、突破した者だけが許される領域。
達也は一気に天国から地獄に突き落とされた。
プライドの高い達也は無精子症に近い、こんな身体を心底恥じていたにも拘らず、やっと夢にまで見た待望の妊娠に、天にも昇る思いで指折り数えての待ちに待った、誕生の日を迎えていたのだった。
(それが、あれだけ喜んだにも拘らず、あれは一体何だったんだ?あれは只の夢?幻?ましてや一番有って欲しくない陽介の子供だなんて?クッソ————ッ!陽介が憎い!俺の望むもの全て奪いやがって——!また、弥生だってもう俺の妻なのに、俺と言う者が有りながら、ふしだらに陽介と乳繰り合いやがって————!あの阿婆擦れ女ぶっ殺してやりたい!その内に見ていろ!只じゃ済まないからな!アアアア……
そう言われればあの整った樹里亜の顔は、確かに陽介の子供に違いない!アアアア……何もかもが信じられない!嗚呼嗚呼あああアアアア————!!!憎い!憎い!憎い!頭が可笑しくなりそうだ!)
達也と弥生の夫婦関係は完全に破綻をきたしている。
DNA鑑定の結果が届くまでの10日間達也は妻弥生に、また…生まれたばかりの樹里亜に当たり散らして、家族がバラバラになり荒れ放題で手が付けられない状態だった。
そしてDNA鑑定結果が届いた。
その結果99,9999978パ-セントの確率で、達也の子であることが立証された。
達也は喜び半分、不安半分の何とも言えない精神状態。
このころから、益々達也の異常性質が、顕著に露呈し始めるのだった。
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