第28話 検体すり替え!
クリスマスの六本木ヒルズといえば、けやき坂から始まる何とも言えない幻想的なグラデーション。
更には東京ミッドタウンの「スターライトガーデン」
余りにもキラキラ輝く神秘的な✨幻想世界に*⋆・
一瞬星屑の世界に迷い込んだのでは?*⋆✶・。✯*✰と思わせてくれる、そんなロマンティックで幻想的なイルミネーション。
そんなきらびやかな電飾世界に彩られた1997年12月24日に晴れて夫婦となった木村輝樹と貴理子。
木村は有名国立大学医学部卒業の優秀な妻貴理子を妻に娶り、更にはこの病院の時期理事長に任命されている優秀な陽介の息子遥斗までを、手中に収める事が出来た。
それでも(弥生が妊娠?可笑しい?あんな造精機能障害の役立たず医師達也の子供が本当に~?もしその子供が生まれたら形勢は逆転する!何と言っても直系の長男達也の子供!徹底的に調べてやる!そしてあわよくばこの病院をわが手に!そして以前から付き合っていた、この病院の看護師麗美との別宅での秘密の生活も手に入れる事が出来るかもしれない?)
実はこの樹里亜誕生には貴理子が大きく関わっている。
DNA親子鑑定***
検体採取の際、立会人となる鑑定会社のスタッフを買収し、検体を他人のものにすり替える、これは重大な犯罪だが……。
木村は徹底的に調べ上げている。
◆▽◆
ある日の山城産婦人科での一コマ。
「俺も晴れて子供を授る事が出来た。もう安定期に差し掛かったから、これでもう万々歳だ~!」
達也が有頂天になってオメデタの報告を、産婦人科の副院長貴理子と内科副院長の木村に自慢げに話している。
伝達事項が月に1回この産婦人科で行われている。
「それは、おめでとう御座います」
最近は精神的に安定してきている達也だが、この躁鬱の激しい、我がままで癇癪持ちの、さして優秀でもないヤブ医者達也が目障りで仕方がない。
木村や貴理子に対して仕事場で気に食わない事が有れば(お客様の前だろうが、従業員の前だろうが、容赦ない罵倒。妻の貴理子の方が遥かに優秀なのに……)
木村は隙あらば、この病院から達也を追い出したい。抹殺したいばかり。
今は赤ちゃんの誕生に、有頂天になり天にも昇る思いの達也だが、最大の喜びの今だからこそ精神的な大打撃を与えるには格好のチャンス。
生まれてくる赤ちゃんが、達也の本当の子供では無いという既成事実を作るという事。
実はこの弥生の治療には、貴理子が担当医として重要な役割を果たしていた。
貴理子は独身時代に、とんでもない事をしていた。
(もうどうにもならない、陽介の気持ちは完全に弥生に傾いている、私の入る余地などどこにも無い)陽介を愛するあまりに、結婚出来なくても陽介の子供さえいればと、生きた精子を抜き取って保存していた。
そして最終兵器、あわよくば妊娠でもすれば弥生も諦めるだろう、そこまで思い詰めての行動だった。
お医者様を目指す人の中には、開業医や勤務医の御子息様やお嬢様も多い。
あいにく貴理子も産婦人科開業医の娘。
実家の病院で陽介の生きた精子を液体窒素の冷気で冷却保存していた。
女の恐ろしいまでの情念。
それだけ陽介は魅力的だという事だ。
それでも貴理子もあれだけ愛した陽介だが、今更陽介には何の未練もない。
若い木村に夢中。木村に溺れきっている。木村に捨てられたくない!その為だったらなんだってするのだ。
更には自分の息子遥斗を、未来の理事長にと願うのは当然の事。
達也の生まれてきた子供が陽介の子供と分れば、達也も生まれた子供など可愛い筈が無い。そればかりか只の憎しみの塊でしか無い。
この愛憎劇果たしてこれから、どうなって行くのか?
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