エンドロール

― 元ネタ ー

 彼らの『その後』を執筆する間、しばし元ネタや執筆秘話などご紹介したいと思います。


 お時間ございましたらどうぞお付き合いくださいませ。

 

     *  *  *


 本作『ケリドウェンの娘』は、既にご存じの方もおられるかと思いますが、ケルト神話に登場する大釜の女神ケリドウェンの話に基づいています。


 Wikipediaでケリドウェンを検索すると概要が読めますが、正にそれをたたき台にして書いたのが本作となります。


 ◆ 元ネタのWikipedia  

   https://ja.wikipedia.org/wiki/ケリドウェン


  (この先ネタバレあり)


 元ネタは神話あるあるで、設定が突拍子もなく、


「釜が爆発」 何故!?

「人間が麦に」 何故!?

「麦食べて妊娠」 何故!?


 と突っ込みながらも、出来る限りオリジナルの設定を引き継いだつもりです。が、最後は大きく改変することとなりました。


 

 神話での名付けのシーンは――皮袋に入れられ海に流されたグウィオンの生まれ変わりが、漁に出ていた領主の息子エルフィンに発見され、ナイフで皮を切り裂いて出てきた子の美しさに驚いて「タリエシン!」(輝く額)と叫んだ――というのがメジャーのようです。


 ここでもまた何故!? と突っ込むことになるわけですが、これには諸説あり、資料によって「輝く額」だったり「輝く眉」だったり「美しい顔」だったりします。


 輝いてるのが額にせよ眉にせよ、タリエシンが美しさに主眼を置いた名付けであることには違いありません。それを、神界審判のあの場でケリドウェンが名付けたというのは、どういう理由だったのか――。


 本編では明らかにされていませんが、あの場で考えたというよりかは、その子を産んだ時に心に思ったのでしょうね。なんて美しい子なんだと。それが理由の一つで殺せなかったし、いきなり名付けを求められたのにも関わらず、すぐに答えることが出来たのでしょう。


 ちなみに神話では、モルダもタリエシンも男で、タリエシンは後に偉大な吟唱詩人になります。6世紀頃に実在したとされ、12編の『タリエシンの詩』を残しているそうです。どんな詩なんでしょう、まだ読んでませんが気になります。


 恩人エルフィンの危機を詩吟で救うなど、彼は彼で、興味深くドラマチックな逸話を残し、数百年の時を超えて様々な時代や世界に登場していることから、転生を繰り返していると言われているそうですよ。


 元祖、異世界転生者。


 タリエシン、恐るべしです。


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