第12話 うっかり


私はダンナの経理をしている

請求書を書いている。

時々残業の日があった。

何気に聞いた。

「残業って何時から?」

決まってないけどだいたい17時前後かな?

遠方の現場へ行った時には

当然残業はつかないが、帰りは遅い。

いつ現場が終わるかは知る由もない。

遠方だが早く終わって

はなちゃんに会ってるのか?


少しずつダンナの仕事の情報を入れる。

逆に今まで何も知らな過ぎたのだ。


サラリーマンの頃、残業を毎日していたが

残業手当がついた事がない。

「以前に勤めていた会社もこうやって残業の

請求はしてたのかな?」

「かもな、まぁ残業は滅多にないけどな」

言ったな。

自分から言ったな。

あの頃から残業、残業といって

はなちゃんと会ってたんだ。


あっ、そういうことか、、、

独立したのは自由にはなちゃんと

自由に会うためだったのか、、、


そう言えば、、、

「子供が大学を卒業するまで

ずっと我慢していた。」

そう言ってたな。


過去と現在が繋がった。

待って、我慢って何を?

怖かった。

この人何考えているんだろうか?


毎日交わした言葉

「いってらっしゃい」

「お疲れ様」


どこへ行くのやら

何に疲れているのか?

そんな事を考えるようになっていた。

私はダンナの帰りが遅いと

不機嫌になっていた。


はなちゃんへ

ダンナはどんな顔して会ってたの?

楽しそうだった?

二人は幸せだった?

あなたを私は許さない。




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