4 侵入者2
探し物をはじめる。目的を見失ってはいけない。特定するまでに時間をかけたが、おそらく『あれ』はこの近くにある、または生じるだろう。少なくとも今はそう信じていたい。
GPSが正しければ、今いる地点は領域のほぼ中心だ。そもそものはじまりの場所。もっともはじまりの場所は、確認されているだけでも全世界に八〇箇所以上あり、さらに現在でも増え続けているらしいが……。だが、ここがその初期のひとつである事実に変わりはない。
この領域がレジャーランド化されなかったのは不思議といえば不思議に思える。しかも政府によって封鎖されている。
……といってもその封鎖網は大して厳重なものではなく、警備員も監視カメラも多くない。二〇から五〇メートルに一台の設置。から、まったくの無防備というわけでもないのだが……。
それに、領域とみなされた半径約二キロの周囲には薔薇線付きの壁またはフェンスが張り巡らされている。日本政府が何を懼れたのか不明だが、アミニズムが根深く残る精神構造にとって気味の悪いものだったのだろう、ここは。
まだ『あれ』もしくは『あれの痕跡』は見かけていない。想いが足りないのか、出現する気配もまるでない。本当のところは伝説や流言なのかもしれない。人の想いがそれを出現させた?
誰が言い出したのか知らないが、それは幽霊と同じで脳内に作られた像を外界に見たと錯覚しただけなのかもしれない。しかし噂は噂を呼び、誰しも半信半疑だったが、人口に膾炙し、それを求めた多くの者たちの元へ伝わったのだ。
だが本当に、そんなことは起こるのだろうか?
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