第11話
潮風が吹いて居る。
猫の多い町だった。
猫は
甘えた、文字通りの猫撫で声を出して、体を
猫は魚を
町の建物は外周に行く程に低く、中央部に行く程に高かった。外側の大海に面した部分は一階建てしか無く、
屋上とを結ぶ縄は同じ高さ
建物の内部は普通の住居に
誰も住んで居ない建物さえ存在して
屋上と屋上の間は縄で結び附けられて居る。中央の一番高い建物から見ると、蜘蛛の巣を思わせる。中央には誰も住んで居ない。大抵の人間は外側の海に近い二階建てや三階建てに居を構える。
内側に住む
三六〇度、視界の端から端
周囲に十七階建てよりも高い建築物は存在しない。
施錠されて居ない扉から屋内に移る。直射日光を浴びなければ涼しい様だ。外を歩く時は日傘が欲しい所だが、移動術に使って消費して
面倒だな……と年若い男は思った。一つ一つの屋上の面積は
縄を
当然、舟も近寄って来ないのだ。落下して水面に叩き附けられれば怪我をする可能性が高く、人が居ないのでは助けて貰える確率も著しく下がる。
年若い男は下へ下へと階段を降りて行く。最初は一気に降りる
電気が無い
渋々
否、
結局
満月の夜で、
髭面の男の表情は丁度影に
「旅人かい? 珍しいもんだな。
「人を捜して居るんです」と年若い男は言った。
「人捜しとは厄介なもんだな。けど生憎と
「
髭面の男は自宅に案内すると言って歩き出した。年若い男は
燈火は
水揚げにも使われる
余り使うと
髭面の男は
集まっている人間は男女合せて十三人だった。男が七人、女が六人。海産物の他に
「
「あんたも
まぁ
髭面の男は結んであった縄を解いて舟を出せる様にした。
出発して
「
「いや、
「僕は舟を漕いだ経験が
「いやいや謙遜しなくても好いんだぜ、兄ちゃん。
髭面の男は
「まぁ
「
髭面の男は少年の様な笑みを浮べて訊いた。年若い男は
「
水の
年若い男は何とも言えない気分に
髭面の男は小舟を着けると縄で縛って動かない様に固定した。
髭面の男は扉を開けて建物の中へ
窓から室内に月光が降り注いで居る。無月の夜ならば屋内は
建物は四階建てで、髭面の男の部屋は三階に
事実上、
髭面の男は階段を登り
「
「夜は見ての通り暗くて何も見えないからな、手許に照明を持って行くんだが、今日は満月で曇っても居ない。だから
「
「『電気』ってのが今一つ何の事だが
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます