〈円環〉を歩む者達
笠原久
第1話
「
演説は
「今の演説、どう思う?」
「さあね。『〈円環〉から脱出せよ』と言われても〈円環〉が何か
「
「で――」と
「君は結局、
「『〈円環〉から脱出する術を
「
「
いつの間にか近くまで
「困惑してるのは何もあたし達だけじゃないさ。見なよ」と扉を指差した。
聴衆が
「要するに、あれか。途中で降りるのは許可しません、ってか」
「
「
「脱出なんて見るからに無理そうだけどね」
建物は頑丈な壁で囲まれて
「おいおい、まさか俺達を集めて殺す事が目的じゃないだろうな」
「そいつは無いよ」と
「周りの人数を数えて御覧よ」
年若い男は自らの感覚を
「驚いたな。
「数え間違いじゃねぇのか? この短時間にどう
大男の言葉に、少し不機嫌な声で年若い男は答えた。
「有り得ないね。僕のこの能力は間違い無く正確無比だ。何なら一人一人調べて見るかい?
そう言って
「いや悪かったよ。別にあんたを疑ってる
年若い男は
「ふふっ、喧嘩なんてしてる場合じゃないと思うけどねぇ」
「
年若い男は場を離れようとした。
「そう慌て
年若い男は立ち
「自分と組め、とでも
「話が早くて助かるよ。で、
「報酬はどうする
「何だ、そんな事かい? 『〈円環〉から脱出する術を
「
「一つだけ言って置くが、抜け駆けは許さんぞ」
「そいつはこっちの台詞だね――で、あんたはどうするんだい?」
大男に向き直って女は問うた。大男は意外そうに「俺もかい?」と言った。
「てっきりこっちの兄さんだけかと思ってたがな……。念の
「この試験には君の
「それはつまりこの件は単に
「ふふっ、
「遅れ
年若い男は周囲を
「現在残って
「何かすげェ嫌そうな言い草だな、それ」
「正直、余り
「あー……まぁ
「その辺に
「本当の所はあたしにも
「
「仕方無いのさ。これはあたしの本来の能力とは別物だから。で、あんたは組む気が
「ああ
「それじゃあ
「じゃ早速だけど脱出するとしよう。あたしはどうもこう
「手立ては
「
「余り買い被られてもな」と答えつつ年若い男は自身の集中力を高めて周囲の情報を収集し、分析して行った。
残って
建物は縦四十
天井・壁・床・窓の材質は分析不能。
隠し扉や通路と云った物も無い。七本の巨大な円柱が一階から四階までを突き抜けて
何か脱出の鍵と
建物の内部から外部へと情報網を
年若い男は舌打ちして自らの分析結果を
「単にお前の能力不足って可能性は――」
大男は慌てて口を
それも明らかに
他人にこうと言われたり今の様に少し
にも
疑問が
だから意志は弱いが戦闘時には最も強いとの分析結果を
分析どころか情報を収集する段階で
他にも
出来る事なら余り
外部の情報が取得出来ないなどと
「直接触れて見たら? 距離が
「止めて置くよ」と年若い男は目線を外して首を振った。
「何か知りたくない、知っては
「ふふっ、残念だねぇ。あたしとしてはあんたの反応を見てみたかったんだけど、
四階には人が居なかった。脱出を試みて
そうして七つある柱の内の階段から一番離れた地点にある物の所まで歩いて行った。
年若い男は柱に近寄って
成分不明。極めて硬度が高い。破壊は不可能。作られた時期も不明。新しいのか古いのかすら
一階床から四階天井まで垂直に伸びて
即ち
地面の下に洞窟が有った。否、洞窟と
地底湖も
洞窟内部は入り組んだ道筋をして
十五平方
洞窟内部は冷えていて、気温は十三度、湿度は七一パーセント。地底湖の影響で空気が
だが内部には奇妙な事に人の手が加えられた
最も高低差のある十二
道は細い廊下の様に伸びて
最も近いのが十四
十四
洞窟内部は基本的に暗闇だが湖のある部屋は薄ぼんやりとした
「と云う事は、その水を持ち運べば
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