妹にシスコンだと勘違いされている俺が、実は幼なじみの女の子に恋をしているんだけど、どうやって告白すればいいのかわからない件について

六角

第1話

俺は高橋大輔。高校二年生で普通の男子学生だ。普通なんだけど、一つだけ問題がある。それは……。


「お兄ちゃん、今日も一緒に帰ろうね」


教室のドアを開けて現れたのは、俺の妹である高橋美咲だ。彼女は俺と同じ高校に通っており、一つ下のクラスに在籍している。見た目は可愛らしい方で、長い黒髪をリボンで結んでおり、瞳は大きくてキラキラしている。スタイルも良くて胸も大きくて……って、何を言ってるんだ俺。これはただの客観的な事実であって、俺は妹に何も思ってなんかない。


「ああ……」


俺はため息をつきながら返事をした。この返事が無愛想だと思われるかもしれないが、それも仕方がない。なぜなら、俺は妹と仲が良すぎるせいで周囲からシスコンだと思われているからだ。


「お兄ちゃん?どうしたの?」


美咲は心配そうに俺の顔を覗き込んだ。彼女は俺に対して常に甘えており、手を繋いだり頬を寄せたりすることもしばしばある。それがシスコン疑惑の原因なのだが、彼女は全く気にしていないようだ。


「別に……」


俺はそう言って美咲の手を振り払おうとしたが、彼女はしっかりと握り返してきた。


「お兄ちゃん、嫌なことがあったの?」


「いや、別に……」


「じゃあ、何でそんなに不機嫌なの?」


「だから、別に……」


俺は言葉に詰まった。正直に言えば、俺は妹と仲が良すぎることに少し辟易していた。だって、俺には好きな人がいるんだ。それは妹ではなくて、幼なじみの佐藤花音だ。


花音は俺と同じクラスで、隣の席に座っている。彼女は美咲とは対照的に、ショートカットの髪に小さな目と口を持つ。スタイルも普通で胸も小さい。でも、俺はそんな彼女のことが大好きだった。彼女は明るくて元気で、いつも笑顔で俺に話しかけてくれる。彼女の笑顔を見ると、俺の心も暖かくなる。


俺はずっと花音に片思いをしていたが、なかなか告白する勇気が出なかった。それどころか、妹と仲が良すぎるせいで、花音にもシスコンだと思われているかもしれないと不安になっていた。だから、今日こそは花音に自分の気持ちを伝えようと思っていたのだ。


「お兄ちゃん、私と一緒に帰ろうよ」


美咲はそう言って俺の腕を引っ張った。彼女は毎日俺と一緒に登下校しており、家では部屋に入り浸っている。それが普通だと思っているらしい。


「ごめん、今日はちょっと……」


俺はそう言って美咲の手を離した。今日は花音に告白するチャンスだ。それを逃したくなかった。


「え?どうして?」


美咲は驚いたように俺を見た。彼女の瞳には悲しみや不安が浮かんでいた。それを見ると、俺は罪悪感を感じた。でも、今日ばかりは我慢してほしかった。


「別に……用事があるから」


俺はそう言って教室を出ようとしたが、その時だった。


「大輔くん!ちょっと待って!」


教室の中から聞き覚えのある声が聞こえてきた。振り返ると、そこには花音が走ってきていた。彼女は俺の方に笑顔で手を振っていた。


「花音……」


俺は思わず呟いた。これはまさか……告白される?




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