小田急線
とうとうその日がきた。
姉のタンスから、白のカシュクールのカットソー。これぞとばかり短い花柄のホットパンツ。靴はハイカットの白のスニーカーを、選んだ。
赤いルージュを引く。
完璧だ。何度も鏡で全身を確認した。
外は曇り空だった。
電話をかけたユリコとふたり。
先生とは七時に下北沢のマックで待ち合わせをした。先生の大学の後輩も来るらしい。
池袋しか知らない私に、新宿の乗り換えは迷路だった。
なんとか小田急線の乗り場を見つけ、急行に乗る。
すごく遠く感じた。下北沢って東京なの?
急行で一駅くらいで疲れを感じた。
駅に着いた。
すぐにマックに入り、ポテトとドリンクを頼む。
同行してる彼女は、すでに下心満載で、泊まる気でいるらしい。
親には一応、友達とお泊まり会になるかも、と告げておいた。
数十分くらいして、先生が来た。大学生だった。塾では知らない顔の彼を見た。
大学生のお友達はなかなかのイケメンで、同行のユリコは気に入ったらしい。
すでにアタックを開始していた。先生のお友達は、まいったなぁと言う感じで、無理矢理付き合わされてる感が、否めない。
先生は、私に、友達のように接してきた気がする。塾での先生とは違って、同級生の男子と変わらなくみえた。
これから、どうすんのかなぁ
私はちょっと帰りたかった。
怖かったのだと思う。
外に出たら、雨が降っていた。
傘を持っていなかった私は自然と先生の、傘に入った。
今までの不安が消えた。
隣にいる先生は、暖かかった。手を繋ぐわけもなく、ただ並んで歩くだけ。
だけど、胸が高鳴った。
初めて、男の人に触れたいと思った。
私たちは何も会話はしなかったけど、同じ思いだった。
触れたい、と、思っていた。
コンビニでお菓子を買った。当時流行っていた先生と生徒の禁断のドラマを真似して、エリーゼを買った。
先生は、それ、ドラマの?と笑っていた。
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