公衆電話
受験に向け、進級し、3年になった。
3月で、彼は講師を辞めることになった。
就職活動である。
その時、別れが寂しいとか思ったかは思い出せない。
最後の授業で、
「わからないことがあったら、電話して」と、生徒四人に向けて、白板の端に電話番号を書いた。
すかさずメモを取る。
ご当地キャラのような犬のメモにはっきりと書き、お財布に大事にしまった。
5月になり、塾友達のユリコが、先生に電話してみない?と言うので、駅の公衆電話から彼女は躊躇なく彼に電話をした。
私はその時、そんなバカなことしても、相手になんかしてくれないよ。と、すでに冷めていた。恐らく、受験勉強が本格化し、彼のことは忘れていたんだろう。
バカな計画だけど、やってみたら?と促した。
彼女がかけると、電話に彼が出た様子だった。彼女は中学生らしいテンションで、あそぼーよー、なんか言っていた。
電話変わる?と彼女に言われ、ちょっと緊張して変わった。
「もしもし?先生?」
しかし、彼の反応が以外だった。
「電話、待ってた」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます