第6話 「え!?蘭葉くんなの!?」
「あ……どうしよう……もうどうしようもない……」
「さすがに誤魔化せないわよ……」
母さんもお手上げか……
でも説明しようがないな……
「とりあえず痩せましたって言うしかないでしょ?」
「でも……違う人だと勘違いされるんじゃ?」
「どうしましょう……」
休むか……
いや、しかし……
「とりあえず何とかなるっしょ!」
「だから軽いって!?おい!」
こいつはほんとに反省しない……
「とりあえず行ってみるわ……」
「頑張って!送り迎えはやる……」
「いや……大丈夫……俺の方が速いから……」
「ファ!?まじすか……?」
「うん、本気出したらたぶんロケットより速いと思う。」
「マジパネェ……異世界マジパネェっす……」
そして時は経ち……塾の時間
「んじゃ、いってきま~す。」
「え!?兄さん?車は!?」
「いらねぇよ……じゃあ行くわ!」
「い、行ってらっしゃい……やばすぎだろ……車より速いとか……」
その後、ロケットより速いと言ったら母さんと同じ反応をされた……
~~~~~
塾
ここの塾は駅近で、俺が中学受験して合格したのもこの塾のおかげだ。
「よし、着いた……30分まえ!結構早く着いちゃったな……」
塾はビルの〇階~〇階まで……とかではなく完全に建物すべてが塾の校舎である。
俺は、いつも放課後は塾に来て勉強していた。
俺に唯一優しく接してくれる場所でもあった。
だから、当時の俺はなんとなく逃げるためにここに来ていたんだと思う。
現実逃避がしたくて。まぁ……勉強は大変だけどな……
「会員証見せれば多分大丈夫かな?いちおう……スキルを使っておこう……」
スキル「ハガネ―ズメンタリング」
一瞬だけ精神の耐性を高めることができる。
(俺が使ってたのは緊張するときだけだけど……)
「よし!スキルも発動したし、入ってくか……」
そして俺は、塾へ入っていった。
いつものようにそこには受付の人が立っていた。
そして、俺に話しかけてきた。
「すみません。何の御用でしょうか?」
「僕は会員生なんですけど……」
「え!?あの……お名前を……?」
「学 蘭葉です。」
「蘭葉……って蘭葉くん!?」
そう、この受付の人はいつも放課後ここにきて勉強していた時、
励ましてくれた俺に優しくしてくれる一人だ。
名は「氷坂 真由」さん。今の俺とあまり変わらないくらいの身長で……
言っていいのか分らんが結構巨乳だ……だからって、狙ってるわけじゃない。
「はい!この会員証みたらわかると思うんですけど?」
「え、ええ……蘭葉くんで間違いないわね……それにしても蘭葉くん……
一体この1週間の間に何があったんですか!?」
滅茶苦茶動揺している……まぁ、無理ないか……
あんなにぽっちゃりして身長が低かった俺が、
高身長で痩せて、しかもたった1週間でこれになったと言われると……そりゃそうなるわ。
「とりあえず、先生に言っておいてくれませんか?
僕は蘭葉ですと……」
「わ、分かったわ……説明は後で聞かせてもらえるかしら?」
「まぁ……信じるなら聞かせてあげます……信じるかどうかは真由さんしだいですけど。」
「信じるわよ!だから後で話し聞かせてね!」
「はぁ……わかりました。」
「よろしい!じゃあ、いつもの部屋に行ってね!」
「分かりました、ああ、それと……」
「どうしたの?」
「スリッパ履けないので貸出してもらっていいですか?」
そう、3年近く体は成長しているから実際は俺は「高校生」ぐらいなのだ。
ちなみに、俺の足は29㎝だぜ☆(余計な情報)
「分かったわ、次から忘れないでね……って履けない?」
「あ~めんどくさいので後で……じゃあ!」
「あ!ちょっと!……都合の悪い時だけ逃げるのは変わってないわね……
まったく……ふふ、別に変らないわね。」
「なんか言いました?」
「別に……何でもないわよ、ほら、さっさと行った行った!」
「へいへい。」
ちなみに、「変わらないわね」って言葉、聞こえてましたよ……
じゃあ聞くなって?そりゃ、間違ってたら困るからだよ!
この校舎の構造は、一階に先生たちのスペースと、教室が三部屋。
二階は、自習室が一部屋に、教室が四部屋とトイレ。
といった感じである。俺のクラスは二階に上がって右奥のクラス。
一応頭が良いほうのクラスには入っている。
クラスに入ると、一人だけ先客がいた。
その人は「京葉 満」。俺のよきライバルだ。体形で判断せず、俺といつも話してくれる
気さくなやつだ。ちなみに競い合っているのは数学。計算では負けるつもりがなかったのだがこいつは俺と五分五分だった。今では余裕で越せるだろ。
そして俺は、満に話しかけた。
「よう、満。」
「お、きたかって誰!?」
「声で分かるだろ……」
「もしかして……蘭葉に擬態した生物だったり……」
「あるわけねぇーだろ……頭はSF気分ですか~み・ち・る・く・ん?」
「その鋭いツッコミは!?」
「だからもうやったっつってんの!!……なに?俺はツッコミ担当?」
「実際そうやん……っていうか……ほんとに蘭葉なのか!?」
「ああ、数学ではお前が俺にちょっかいを出してきて20勝0敗の
学 蘭葉くんですよ~」
「あ!くそ野郎!逆だ逆!俺が20勝0敗だろ?」
「んだとてめぇ!?いいぜ、ここで勝負つけるか?」
「望むところだ!」
なんだか楽しすぎて喧嘩売っちまったよ……久々だからか?
それとも異世界に行って血気盛んになっちまったってとこか?
「まぁ……勝負はここでいったんお預けだ。まずはお前の話が聞きたい。蘭葉。」
「そうだな……しかたねぇ……じつはなぁ……」
はぁ……話すのが面倒だな……
まぁ、別にいやってわけじゃないからな。
そして俺は先生が来るまで、
ありとあらゆることを話した。
第6話終わり
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