俺の物語は異世界から帰ってきた後です
リルク
異世界からの帰還
プロローグ 異世界転移
俺は「学 蘭葉」
異世界転移した中学生だ。っていきなり言われても困るよな……
まず俺はかなりデブだ。そのせいか小学生の頃はいじめを受けていた。
まぁ……なんとも悲しいお話だ。
今は令和だから全然つらくないって大人はいうけど結構つらかった。
どんないじめかってネット上のものだ。
オンラインゲームでも俺はブロックされることが多かったんだ。
だからいつもソロだ……ゲームもずっと一人でやってた。
6年生になったとき、少しでも見返してもらえるように
中学受験したんだ。幸い、僕は勉強だけは少しできたので
死ぬ気で頑張って受験して合格した。
……でも逆効果だった……俺は同じ学校を受けて落ちた子のグループに
いじめられることになった。そこまでひどいものではなかったかもしれない。
しかし俺は確実に心を傷つけられた。
でもあと少しの辛抱だって、そしてその学校に入った。
その学校は俺が住んでいる県でも一番有名な中学校で、
かなり頭がよくないと入れない学校だった。
俺がこの学校に入りたかったのはいじめてくるやつから離れるだけではなく、
この学校で友達を作りたかったのもあったんだ。
いざ入学すると周りに座っている男子とはすぐ仲良くなれた。
しかし、中には感じの悪いやつもいた。
時間がたつほどに話せる人は増えていった。
でも俺と同じくデブの奴が俺をいじめてきた。
「お前もデブのくせに。」
そういったらそいつのグループから罵詈雑言が飛ばされた。
せっかくいい学校に入ったのに……
そして俺は……不登校になった。
最初はちょっと気に食わないと俺に何かといってくるやつだった。
でも、だんだんひどくなっていって、合唱コンクールの時
俺が、「もっと真面目にやってよ」
そう言うと、舌打ちして
「お前は歌わなくてもいいから。」
とか言われてすごくつらかった。
そんなことだ、俺が不登校になった理由は。
そして時は流れ
3月
「もう2年生か…行けるようになるといいな!学校!」
父さん、わかってる。わかってるんだ。
上から目線で言ってしまったのは悪かったと思ってる。
俺がお前にとって邪魔な存在なのは十分わかってるんだ……
前に先生に会いに行ったとき、
「河馬くんも謝りたいって言ってるから……」
そう、反省してくれてるのも分かってるんだ。それでも……
「すみません、俺は会いません。」
そう言った。申し訳なかったと思っている。
でも僕は臆病だから……
「そ、そう。分かったわ。自分のペースでね!」
そういう上辺だけの言葉しか出せないくせに……
俺はそうして来年も続くんだと、 そう思った。
3月の下旬
家のリビング
「まーた韓国ドラマばっか見て……飽きないんかね?」
「これがカッコいいのよ!あのドラマの……」
はいはい始まったよお母さんの韓国ドラマ好きが、ほんとに、
なんでそんなに語れるのかね?
いつもの時を過ごしていた時だった。
「うぅ……なんだ!?」
いきなり視界が真っ白になって、気を失ってしまった……
~~~~~~
「……うぅ……ここは?」
「やあやあよく来たね!」
!?立ち上がって周りを見てみると真っ白な部屋のような空間だった。
そして目の前には、ギリシャ神話に出てくる人たちのような恰好をした、
明らかにキラキラ輝いている成人男性くらいの身長の男が立っていたのだ。
「ここはどこなんですか……?」
「ここは[神の儀式間]。俺たち神が別世界から勇者を召喚するときに
使用する場所だ。」
「神!?ってことはあなたは……」
「そう!初めまして!学 蘭葉くん。
私は神位第1位、栄光と勇気の神
「ヘラクレス」、君をここに呼んだ張本人だよ。」
「ヘラクレス!?」
そう、俺は読書が趣味だったのでギリシャ神話は一度見たことがあった。
たしかヘラクレスは……
「そう!僕は半神半人の怪力の英雄さ!地球でも同じなんだね!」
「本当にいたのか……あ!いたのですね。」
「いいよ!ため口で。俺たちの仲じゃないか!」
俺たちの仲って……召喚した側とされたっていうだけじゃ……
それに神位って?
「それは、神の中でも序列があってね。僕は一番偉いってことだ!」
「ええええ!?!?ゼウス様じゃないんですか!?」
知ってる人が多いかもしれないがゼウスというのは、ギリシャ神話に出てくる
「全知全能」の神だ。ほかの神たちも従えているという神話最強の神。
「へ~ゼウスを知ってるんだ!彼はもう死んだよ。俺たち神が殺したからね」
え!?
「ずっと独裁的だったからね。いなくなってもらったよ。」
神のいざこざってほんとにわかんね~な……
「それで、俺は元の世界に戻れるのか?」
「戻れるよ!今すぐ帰還可能だ。」
ほんとか!?それなら……
「でも――君はそれでいいのかい?」
!?!?
「君、元の世界ではそうとういじめられてきたのか……」
「わかるのか?」
「ああ、俺たち神は「神眼」を持ってるからね。神眼は相手の生い立ちや
能力を見ることができるんだ。」
「そ、そうなのか……!」
「んで、君はどうするよ?元の世界に戻ってみじめなヒキニートになるか?
それとも、異世界で強くなってみんなに認められる人生を送るか?」
「……お、俺は、俺は……」
たしかに安全性の問題もあるが家族と会えなくなるかもしれない……
「一つ聞かせてくれ。」
「何なりと。」
そうしてヘラクレスはにこっと笑った。
「異世界に行った場合俺は元の世界に戻れるのか?」
……なにこの沈黙??帰れないのか……な……
「あるにはある、一つだけな。」
「ほんとか!?」
「ああ、だがその条件は魔王を討伐することだ。」
「!?!?」
そっちのほうがよっぽど危険じゃないか!!でも……
なにもできない自分は何の価値もない……だったら!!!
「異世界を選ばせてくれ。」
「お!?意外だね……君は戻ることを選択すると思ったのに……」
「俺はいつまでもこのままじゃいられないんだ!!
親にも友達にも迷惑をかけて……生きている価値なんてない!!
だから!俺ができることを、この絶好のチャンスを!」
「すごいね!君は勇気がある。その勇気さえあれば大丈夫さ!
じゃあ……頑張って!」
「はい!」
なんだか不思議な気分だ。こうして応援されたのっていつぶりだっけ?
なんか……涙が……
「僕は君を応援している!頑張って!魔王を倒したらまたここにおいで!
それでは、またいつか!」
「はい!絶対ここにまた来ます!」
すると急に視界が真っ白になって気が付くと、洞窟の中で倒れていた。
パンパン……そうして尻にかかっている土を払った。
「ここが異世界か……俺は絶対強くなって帰還してやる……地球に!!」
~~~~~~~~~
3年後
禍々しい城の頂上は半壊していてそこには
傷だらけの男が二人倒れていた。
『見事だ……小さき勇者よ……最後に聞かせてくれ……
なぜおまえは我を倒した?』
そこには血まみれで横たわっている角が生えた男と
かつていじめられていた今ではそんな姿を微塵も感じない気迫があった男が立っていた。
そして、ゆっくりと言葉に出す。
「俺と俺の家族が待ってるから……いや自分の好きなようにしただけだ。」
『そうか……自分の好きなようにか……実に天晴れだ!
最後に我の力をお前に授けよう。』
「いいのか?敵に力を渡してしまって……」
『いいんだよ!お前は我の配下と俺をほぼ一人で倒したようなもんだろ!
その強さは……魔王としてではなく一人の男として認める。
お前は実に「勇敢」だったよ!』
「そうか……ならよかったよ!ありがとう魔王。」
「ああ、こちらこそだ。」
今まで敵としてだったのに……最後は友達みたいだったな。
友達……
ともだちか……
つくってやるか向こうの世界で!
キュイィィン
「お!お出迎えか、お前もくるよな、ジャル。」
そうして愛犬の名を呼んだ。
「ワン!」
「よっし!三年越しの再開だな……」
~~~~~~~
「よう!ヘラクレス!3年ぶりだな!」
「久しぶり!蘭葉。」
プロローグ終わり
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