第33話 開拓する者、しない者
怪しい集会所さながらのフードコートで他人の人生の悲喜交々を見ながらする食事はなんとも味気ないものだった。
基本的に料理人にパックを渡してメニューに沿った食事提供法。
私は魔の筍を三パック使った筍ご飯と二パック使った煮付けを注文。
炊き立てのご飯に混ぜ込むだけ、出汁に浸すだけなので想像していたよりずっと早くテーブルに並んだ。あまり加工しすぎると効果を失うかららしい。
いただきます、と手を合わせて実食。
シャキシャキした食感が心地よく、筍の出汁がよく出た風味が米に染み込んでいる。油揚げでまた違った食感を味わいつつ、次のシャキシャキを求めるように箸が進んだ。
今川さんと二重さんは私を見ながらこんな空気でよく食が進むねと言いたげだ。こればかりは慣れとしか言いようがない。
AWOで海の中で食事したことに比べたらなんて事ない。
そしてお目当てのスキルが生えたかを確認する。
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ユウジロウ・ササイ
レベル19
称号:スライムキラー、ジャイアントキリング
運命に打ち勝ちし者、トラップブレイカー
スキルポイント:79
★ジョブ:テイマー
1.キャディ
【種族:鳥/木】
【性格:温和】
【孵化:3/4】
☆サブジョブ:セットされていません
ーー
<ジョブスキル>
意思疎通(テイマー)
餌やり(テイマー)
行動指示(テイマー)
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<アイテム情報:30種>
★スキルグレード
【金塊+1】【金塊・大+3】
★武器グレード
【光苔+1】【水晶+3】
★武器グレード+属性
【紫水晶+4、貫通付与】【黄水晶+4、連撃付与】
★状態変化
【スライムコア:属性付与・食欲解消+15%(5種)】
【スライムドリンク:属性耐性付与・喉の渇き解消+15%(5種)】
★スキル獲得アップ
【筍の水煮:スキル発現率増加(3種)】
★加工素材
【宝石のかけら:餌+性格変更/合成素材/錬成素材(3種)】
【ウルフの牙:鍛治】【ウルフの肉:餌/調理】
【ファルコンの肉:餌/調理】 【ファルコンの鍵爪:鍛治】
【アイスハンターの嘴:鍛治】【アイスハンターの毛皮:服飾】
【◯◯ソウル:テイムモンスターの種族を固定化する】
★???
【謎の卵】
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<武器>
【火】パタークラブ【斬・打】Ⅴ
スコップ【採掘】Ⅲ
ナイフ【斬】Ⅴ
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<スキル>
コアクラッシュ【斬・壊】Ⅲ
草刈り【斬】範囲Ⅰ
クリーンヒット【打・貫】Ⅰ
食いしばり【減】Ⅰ
チェインクリティカル【打・貫】Ⅰ
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<獲得可能スキル>
☆挑発Ⅰ【怒】付与
☆採掘Ⅰ【採掘取得品+1】
☆採取Ⅰ【採取取得品+1】
☆☆ショットⅠ【打】
☆☆☆パワーショットⅠ【強打】
☆☆☆煽り芸Ⅰ【怒】範囲付与
☆☆☆☆☆ドヤ顔Ⅰ【憤怒】付与
☆☆☆☆☆☆☆岩盤工事Ⅰ【宝石獲得+1】
★消火Ⅰ【殴・貫】火特効
★伐採Ⅰ【斬・貫】木特効
★水切Ⅰ【斬・貫】水特効
★剣閃Ⅰ【斬・貫】闇特効
★漆黒Ⅰ【斬・貫】光特効
★★ネクストボール【魔】無属性
<獲得可能ジョブ>
★★★★★錬金術師
★★★★★★大工
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それっぽいのが生えてたので取得。
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<スキル>
コアクラッシュ【斬・壊】Ⅲ
草刈り【斬】範囲Ⅰ
クリーンヒット【打・貫】Ⅰ
食いしばり【減】Ⅰ
チェインクリティカル【打・貫】Ⅰ
ネクストボール【魔】
ショット【打】Ⅰ
パワーショット【強打】Ⅰ
岩盤工事Ⅰ【水晶、宝石獲得+】
┣ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー┫
これでよし、と。
岩盤工事は一つの面積を更地に変える効果を持つ。
単純に宝石採掘以外にも応用効きそうでいいよね。
あとはショット系を充実させた。パターなのに……うん、それは別にいいんだ。逆にゴルフクラブ握ってて今までショット系を持ってなかった方がおかしいくらいだからね。なので揃えた。なんらおかしくないよね。
スキルポイントは32も消費したけどなんら惜しくない。
有り余ってるからね。本当に使わないんだよ、これ。
欲しいスキルがないというのもあるけど、まぁ現状あるのでやれちゃうからね。
「急に地面を更地にし始めた時はびっくりしたけど、それは一体なんの魔法だ?」
「地盤工事っていう採掘系スキルのパワーアップ版ですね」
「それがスキル欄に生えるこの人がおかしいんですよ、先輩。普通は出ません」
「そ、そうだよな? スキルっつーのはダンジョン内で経験したことしか生えねーって孫も言ってたぜ?」
「そうなんですか?」
二重さんは初めて知ったとばかりに言う。え、知らないんだ?
まぁ本人は探索者じゃないらしいから知らなくて当然か。筍おじさんだもんね?
「じゃあ笹井さんはダンジョン内で大規模工事をしたと?」
「工事なんてきちっとしたもんじゃないですが、足元滑るなーって思ったので掘り起こして馴染ませた事ならあります。こいつで」
使い慣れたスコップを取り出す。武器グレードⅢだが、床くらいは簡単に掘れるからね。
「「…………」」
なんでしらけた目で見るんでしょうか、この人達。
「さ、さあ欲しいものも得られましたし行きましょうか。言っておくけどこれが欲しかったスキルじゃないですからね? 言うなればこれはついでです」
「ついででとんでもないスキル獲得してる自覚はないんでしょうね」
「いつもこうなのか? その、ゲームでも」
「ゲームの方のやらかし具合は目も当てられないのでこれはマシですね。スキル一つでキャッキャ言ってるうちが華ですよ」
「ますます気になるな、そのAWOってのが」
「掲示板を覗けばこの人がどんな人かわかりますよ。老眼には堪える速度で情報が出回ってますが」
「ネットだろ? 勤務中にいくつか触ったが俺ぁさっぱりだったから部下に全部任せてたわ。警察ってーのは肉体が資本だろ? 小難しい話して煙に撒かれてる気分にしかなんねぇのが嫌でなー」
「それは拗らせすぎですね」
「先輩は根っからの体育会系ですから」
「あー……」
「おい、その間延びした返事はなんだ」
どうやらその問題についてはご本人も気にしてるらしい。
第一世代と一括りにされても、年上の人たちと後から生まれた私じゃ価値観が結構違うからね。
そんな訳で駅を四つ跨いで私はエッグダンジョンへと再び戻ってきた。
初心者テイマー達が今日も真剣に色違いの卵を選ぶところから始めてる。
スタートダッシュか、はたまた厳選か。
まるで商品を見る目で真剣味を帯びている。
テイムモンスターはペットじゃないんだよ?
ショルダーバッグから嘴を出してるキャディがなんとも家な様子でそのやりとりを見ている。
「あ、アキカゼさん。お帰りなさい」
「ただいま、回転氏。今日は新人テイマーさんを連れてきたよ。案内よろしく」
「あ、私は付き添いですのでお気になさらず」
メインになる今川さんを前に置き、私と二重さんは一歩引いて様子を見守った。卵を取得するのは決まって深夜。
朝から夕方にかけては一般解放させてるが、そっちの客はポツポツだとか。
抱えた卵は売らずに別の地方で売る行為が横行し出したのはつい先日だと発覚。それについては頭を抱えているらしい。
テイムモンスターは生まれるまでテイマーに帰属しないとはいえ、それを利用した商売が流行ってるのもまた頭の痛い問題だ。
やっぱりこうなると思ったんだよね。なんせ警察が売り出したんだ。免罪符を勝ち取ったとばかりに後続が同じことをしだす。一度流通させたらエッグダンジョンから仕入れたと口裏を合わせればいい。世の中いい人ばかりじゃないからね。
「くわー」
キャディの鳴き声もなんとも物悲しく聞こえたものさ。
そんな私達がダンジョンに挑んでる間、リアル世界ではステータス情報が一新される事件が起きていた。
誰かが新たに情報を取得したらしい。
私以外にも開拓に力を入れている人がいる。そう思うと気持ちが嬉しくなるね。
今川さんは無事モンスターエッグを入手していた。
ドーベルマンを生み出したいみたいに言うけど、最寄りのウルフダンジョンは絶賛立ち入り禁止なんだよね。どうするんだろう?
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