45分

青海老ハルヤ

45分

 風呂は45分と決まっている。自分で決めた訳では無い。次の入浴を待つ家族のためである。

 残り時間は7分を切っていた。本当は1時間入りたいところであるが私は我慢せざるを得ない。圧倒的に女の権力が強い家なのである。それもこれも父のせいであるが、そんなこんな考えているうちにもう残り時間は5分となってしまった。

 耳が痒い。風呂を出たら綿棒で擦ろう、と風呂に入った時は毎回思うのだが、いつも忘れてしまうのは何故だろうか。人間は愚かな生き物である。さあ残り4分。

 ついでに言えば頭も痒い。ちゃんと洗っているしコンディショナーも残してはいない、はずである。フケはだいぶ少なくなってきたが、それでも危うい。なぜなのだろうか。かつてフケを無くすためのシャンプーを買い、それでも効かなくて、中々大変な思いをしたのである。どうでもいいだろうか。しかしそれも今や残り2分。考えても意味が無い。

 ところで、風呂はとても気持ちがいい。スマホなど置いてゆっくりしたらどうかね。そう、私はこれを書いている作者に言っているのだ。なぜ45分という縛りで書こうなどと思ったのだ。30分弱は体を洗ったりリンスを入れ替えたりで消え、この話を思いつくまでに10分かかった。風呂から出てそれから執筆したらどうかね。いくらスマホが防水とはいえ常に危険と隣り合わせであるのに。

 まあいい。これを読んでいる君はどうかね。どこで読んでいるかは知らないし、読書が悪いという訳では無いが、もっと周りの環境を楽しんだらどうかね。

 おや、45分を過ぎてしまった。やべぇマズイのである。それではさらばだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

45分 青海老ハルヤ @ebichiri99

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る