波状の日々と絡み合う恋
一ノ瀬うた
第1話 優と羽奈
朝日が昇る。太陽の日差しがカーテンの隙間から漏れ、朝を告げる。
「優、朝だよ。優?。」起きない優に少し困惑しているような表情を見せるのは羽奈。優の彼女だ。
「…ん〜。朝か。だるい、もうちょい寝かせて。」優はなかなか起きようとしない、のではなく起きられないのだ。
「何〜?また頭痛いの?それとも気持ち悪い?」羽奈は優しく問いかける。
「頭痛い。」優は苦虫を噛み潰したような顔をして答える。
「ん。じゃあもうちょっと横になっときなね。」羽奈はそう言って部屋を出る。
1人きりになった部屋で優は呟く。
「こんな病気さえなかったら。もっと楽に生きられたのに。」雫がこぼれ落ちる。泣くなよ、。自分に語りかけ、パジャマの袖で涙を拭う。優はうつ病患者。精神病と日々闘っている。
(本当は僕だってみんなみたいに頑張りたいのに。)優は泣き果て、再び眠りの世界に入った。
「優、昼だよ。優?。」羽奈が部屋を覗く。そこには朝から全く変わっていない光景。
「ごめんね、羽奈。今日頑張れそうにない。死にたい。」また涙がこぼれ落ちる。拭いても拭いてもボロボロと落ちてくる。羽奈が優を抱く。
「よしよし。優は私の大切な人。死んじゃったら私が悲しいじゃん。」
そう羽奈が優しい言葉をかけても、
「何でみんな僕を止めるの。?死んだっていいじゃん。早く楽になりてぇんだよ!」
声を荒らげる優。羽奈は目を大きくする。
「優!…あぁ、ほら薬、薬!」
「うるせぇ!薬なんて効かねぇよ!」
羽奈の手を振り払う優。優ははっとした。羽奈の方を見ると、目に涙を浮かべて俯いてしまった。
(ごめんな、羽奈。僕のせいで)
「大丈夫だから、ね?私がついてるから。」
いつも羽奈はこうやって優に優しく接するのだ。その優しさが優には少し重たい。
「ありがとう。羽奈。大好き。」
その優しさに感謝する毎日だ。
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