回想と翌日 〜べナット視点〜
今日は面倒臭い少女に会った。
今日は仕事が休みだったから、いつも通り森に入って、1人訓練をしていた。
一息ついたところで街道の方から剣を打ち合う音がして聞こえて、何かあったのかと見に行ったら、少女がドレスで走っていた。
転びそうになった彼女を支えたら、でかい声で叫ばれるし、馬車も壊れていたし靴が無いと言うから馬を探しに行って、戻ったら急に泣き出すし。
王都の門まで連れて行ったら、王女を名乗り、1人にするなと言って足に巻き付かれるし。
豪華な馬車と真っ白な制服の騎士が迎えにきたから、彼女は本物の王女だったんだろう。
あの後、訓練の後だったし腹が減っていて食堂で飯を食って、公衆浴場にでも寄って宿に帰ろうかと思って歩いていたら、騎士に団の詰め所まで連行された。
今日あったことを簡単に聞かれて、明日は現場まで付き合うよう言われた。
少女を助けたせいで面倒なことになった。
公衆浴場に行った後は、宿に戻らず酒場に足を運んだ。
「あら〜?べナットいらっしゃい。お疲れなの〜?」
「ああ、今日は一杯飲んだら帰る。キツイやつくれ。」
「お疲れの理由は聞かないでおくわ。面倒ごとはごめんよ。」
「・・・。」
ヒゲ面のマスターは小指を立てながら、グラスにウイスキーを注いでくれた。
俺はグラスのウイスキーを一気に煽ると、さっさと宿に帰った。
こんな日は酒を煽ってさっさと寝るに限る。
翌日は騎士に襲撃現場まで付き合わされたが、証言通りの確認が取れると、意外にもあっさり解放され、報奨として金貨の入った袋をもらった。
それからはいつも通りの日常に戻った。
朝起きて職業斡旋所へ行き仕事を選ぶ。その日によって、橋や道路の工事だったり、建物の解体や資材運びだったり、いつも通りの毎日を過ごしていた。
仕事が終われば食堂に行って飯を食い、公衆浴場で汗を流し、たまに酒場に寄って、宿に帰って寝る。
戦争がない時の日常は大体こんなもんだ。
35か40過ぎか、身体が戦いについていけなくなったら引退して、土木作業員としてどっかに雇ってもらうか、田舎に土地を買って農業をしながら細々暮らすか。
まぁ、生きていればの話だが。
俺の人生は、そんな感じで過ぎていくものだと思っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます