神がかりの祖母の話
密(ひそか)
神がかりの祖母の話
先日、風の便りで、私の高校受験のために祖母が近所の亀戸天神社にお参りに行ってくれたことを思い出した。
今日、家の中を片付けていたら、その時のお守りが出てきた。
志望高校名もいっていなかったが、祖母は見事に受験高校名を当て、その名で拝んできたよといっていた。
祖母には、お気に入りの神社があった。
名前を亀戸水神宮という。そこで私の初宮参りをしたといっていた気がする。
亀戸水神宮の最寄り駅は東武亀戸線の亀戸水神駅である。亀戸から電車に乗り、その駅を見て、母親がいっていた。
「ここにある水神が、おばあちゃんがお気に入りだったって…」
「水神って何?」
私が聞くと、水の神様が祀られている神社のことだという。
「ほら、駅の名前あるでしょ」
確かに、駅の名前は「亀戸水神」とある。
それから数十年経って、初めて、私は亀戸水神宮に訪れた。
初めていく神社であったので道筋すら分からない。
事前に調べていったが、最寄り駅から結構遠いところであった。
先日、いとこのお姉ちゃんの子どもが子どもを産んだらしい。いとこのお姉ちゃんにも何十年も会っていない状態であったが、写真には孫を抱いた姿が写っていた。
写真を見て、いとこのお姉ちゃんがおばあちゃん子であったのを思い出した。
なるほど、自分がおばあちゃんになったんだね。
背景には、亀戸水神宮が写っていた。
家族の誰かが風邪をひくと、必ず、祖母から電話がかかってきた。
「大丈夫かい。家族の誰かが風邪でもひいていないかい」と聞く。理由を聞くと何となく分かるのだという。
私の母は、
「ああいうのを『神がかり』というのよ」
といっていた。
祖母が生きていた頃のお話。これが、うちの普段の会話であった。
神がかりの祖母の話 密(ひそか) @hisoka_m
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ルーブルの呪い/密(ひそか)
★0 エッセイ・ノンフィクション 完結済 1話
八重垣神社の鏡の池の縁占い/密(ひそか)
★0 エッセイ・ノンフィクション 完結済 1話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます