(四)-3
「ごめんね。カズ君。実は私、ウソついてきたの」
「え、なに?」
今の状況ですらよくわかっていないのに、さらにミカの言葉も、よく理解できなくて、そう短く答えることしかできなかった。
「実はね、私、ミカって名前じゃないの。本当は春田ミサトっていうの。知ってるでしょ」
その名前に聞き覚えがあった。さっき病室の入口でも感じた、この感じは一体なんなのだろうか。俺は彼女のことを知っているのか?
「小学校の時、同じクラスだったじゃない。卒業のとき、好きって言ってくれたでしょ」
(続く)
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