(三)-3
「もう一度聞くけど、覚悟はできているわね」
病院に入ったときから嫌な予感はしていた。
しかし、病室のネームプレートのところには「久宝ミカ」ではなく「春田ミサト」とある。どこかで見た名前だが、すぐにはわからなかった。
「本当にここなんですか」
「そうよ」
サナさんはそう言って振り返り、俺を見た。俺の目をジッと見つめてきた。大会などで競技に出場する直前の選手の目と同じだった。冗談でもウソでもない、キツい、本気の視線だった。
「わかりました」
そう言って俺は頷いてみせた。
それを見ると、サナさんはドアの方に向き直り、病室のドアを開けた。
(続く)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます