第14話
タマ。
僕の飼い猫であり、少しばかり太り気味の可愛い猫。
「タマぁ!?」
そんな猫のタマがさも当たり前のようにリザードマンの死骸の上に鎮座していた。
「え?ちょ?は?お留守番しておいて、って言ったよね?僕が家に出たときには確実に……いたよね?え?」
「ニャー」
僕がどういうことかわからず、困惑しているとタマがリザードマンの死骸の上から降りてどこかへと歩き始める。
「あっ!ちょっと待って!」
僕は進みだしたタマを追って地面を蹴る。
「……え?早くね?」
四本の足を地につけ、大地を疾走するタマの速度はかなり早く、僕が全力で追いかけても全然追いつけない。
たとえタマの近くに転移しても僕の捕まえる手を華麗に回避して逃げていってしまうため捕まえることが出来ない。
「……ま、じ、かッ!」
僕は剣で自分に奇襲を仕掛けてくるリザードマンなどの魔物を瞬殺し、懸命にタマを追いかけるも全然追いつけない。
「早すぎんだろ!?」
僕は決して遅い方じゃない。
というか割とスピードタイプで、自分の早さは人類を上から数えてトップ30に入っている自信がある。
それでも全然タマに追いつけなかった。
「ッとと……?」
全力でダンジョンを駆け抜ける中、急にタマが急停止したので、僕も慌ててブレーキをかけてその場で止まる。
「……?なんで逃げるのをやめ……6階層へ降りるための階段か」
タマはちょうど6階層に降りるための階段がある場所で立ち止まっていた。
「ニャー」
タマは鳴き声を一つ上げる。
「え?」
すると、僕の手にあるカメラが謎の力に引っ張られ、僕の手から離れてしまう。
「えぇ……なにそれぇ」
僕はタマの頭上でくるくると回転するカメラを見て僕は困惑の声を上げる。
「スキル……?誰が……って、場面的にはタマしかいないか。え?タマってばスキル使えるの?」
「ニャー」
タマは僕の問いには答えず6階層への階段を降り始める。
「んー……はぁー。まぁ、タマのおかげで両手も空いたし、良いか。タマも平気そうだし……二日連続で配信途中終了も嫌だし、進むかぁ」
「ニャー!」
僕は嬉しそうに鳴き声を上げ、階段を下っていくタマの後を追って僕も階段を下りて行った。
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