第11話
ダンジョンで初配信を終え、家の方へと帰ってきた僕はタマを抱きかかえながらソファの方でゴロゴロして過ごしていた。
ちなみに両親共に海外へと出張し……その後、色々と大変なことになっているため今は家に僕しかいない。
というか、海外にあった親の会社は物理的に消滅したので親が金銭面でピンチのため、自分の生活費から家賃、学費まですべて自分で払っている。
ダンジョンのせいで独り立ちすることになった僕はダンジョンのおかげで一人で生活することが出来ていた。
「お前は何なんだ……?」
ダンジョンから帰ってきた僕がまず思うのは自分が拾い、ここまで世話をしていた飼い猫、タマのことであった。
「今まで僕がダンジョンについていったこともなければこれまで高い身体能力のたの字も見せなかったよね?どうなっているの?」
これまでのタマは普通の猫……いや、ご飯の食べ過ぎに加えて僕とずっとゴロゴロしていたこともあってかなり太り気味であり、機敏な動きからは遥かに遠いような猫ちゃんであった。
「ふぅむ……いや、考えてもしょうがないことくらいわかっているんだけどね?」
こうして僕がどれだけ首を傾げ、悩もうとも何も現実は変わらない。
「今更捨てるなんて出来ないしね」
タマはもう僕の家族だ。
普通の猫じゃない!怖い!なんてくだらない理由で捨てることなんて出来るわけがない。
「ニャー」
鳴き声を上げ、尋常じゃない速度で僕に頭を擦りつけてくるタマの全身を撫でまわした後、僕は立ちあがる。
「……タマに言っても無駄だと思うけど、これからはもうダンジョンについて来ちゃ駄目だよ?家で大人しくしててね?」
「ニャー」
タマは僕の言葉に頷いたと言った感じで鳴き声を一つあげる。
「よし!お腹も減ったし、夕飯作るか……冷蔵庫に何があったかなぁー」
僕は自身のダンジョン探索で得たお金で買ったお高い冷蔵庫の方へと向かって歩き出した。
ちなみに自炊歴は長いので高校生としての料理レベルで見ればかなり高い部類であるという自負を持っている。
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