ゲーマー少女とワナビ青年

鈴木雨丸

プロローグ 壊れたオモチャ

「わかってるんですか!? これ、高いんですよ!?」

「はあ、すいません……」

 ヘッドホンをした少女が、眉間にシワを寄せて怒っていた。

 俺は、ヘッドホンをしたままで周りの音は聞こえているのだろうか、と無責任に思った。なぜなら、怒られているのは、俺だったから。

「弁償してください!! 弁償!!」

 少女はテーブルの上の一点を指さしていた。

 そこには無惨にも、カフェラテに濡れた携帯ゲーム機があった。早く拭かなくていいのだろうかと、俺はまた、無責任に思った。

 顔を上げると、少女がいまだに般若のような顔で怒鳴っている。

 俺は、どうしてこんなことにと、ラノベの主人公のように回想を始めたーー。



(続く)

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