少女漫画のような恋をする話
冲田
少女漫画のような恋をする話
思えばその気づきは、
おもちゃのキッチンを囲んで
お母さんも当然、なかなかの人気職ではあった。けれども、なぜか普通にお母さんをするよりも、お母さんの代わりに家事をするお姉さんが好まれた。
そうすると、お父さんは“出張に行ってること”になり、
今の私は女子高生。
すれ違えば誰もが
そして、程よい女でいることが、これから
始業のチャイムの少し前に、
目鼻立ちが良いのはもちろんのこと、無造作風なのにキマっている少し長めの
当然、とてもモテた。モテすぎてもう女には
そんな中、私の立ち位置はこうだ。
「そう? まあイケメンだとは思うけど……タイプじゃないかなぁ」
目の前のイケメンにまったく興味がなさそうな態度をとると、友人は信じられない! と目を見開いた。
「ヒロくんがダメなら、この学校で他に誰がいるっていうのよ?」
「そんなに言うほど?」
「ファンクラブまであるらしいよ」
へぇ、と私は
まあ、口ではそうは言っていても、実は私も彼には興味深々だ。今はほとんど話もしないクラスメイトでしかないけれど、ちょっとずつ
その第一段階はまもなく達成した。おもしれー女に
さあ、そろそろ第二段階。
「ヒロくんの家で勉強会?」
私と女友達、それからヒロくんとその男友達でグループで仲良くつるむようになったころ、そんな話が持ち上がった。
「そう! もうすぐ期末テストだろ? ヒロめっちゃ頭いいしさ、みんなでわからないところ、教えてもらおうぜ!」
「はぁ? なんで
男友達に話を
「お前んとこの親、夕方から夜勤でいないんだろ? 気楽じゃん」
「まあ、そうだけど……」
「夜は、二人きりにしてやるからさ!」
「はぁ⁉︎ なっ……誰とだよ!」
「え? ご両親とも夜勤なの?」
私が思わず割り込んで聞くと、ヒロくんの表情がさっと
「いや、親父は……俺がガキんときに女追いかけて、出てったらしい……」
そっか……ヒロくん……実は母子家庭で、ひょっとしたら色々かかえてるんだ……。
「ごめん、気軽に聞いていいことじゃなかったよね……」
私はしゅんとして、
──あーあ。外した。不幸系イケメンだったか。
私は苦労して得た情報を持って、
「そっちはどうだった? たしかルームシェアパターンだっけ?」
「そう。親の転勤についていくのが
「こっちはごく普通の、仲良し同居家族だったよ」
「私は当たりだったよ! ま、両親が海外
私たちはわいわいと、そんな
これは、この世界の真実に気づいた者たちの集まりだ。
私たちのような
そしてこの世界では結構な確率で、そのイケメンは一人暮らし。そこには様々な家族の物語があるけれど、いき着くところは、なんらかの形で両親が
きっとおままごとと一緒。人気の役割ではないし、私たちヒロインとイケメンヒーローが愛を
今回のターゲットは高層マンションの彼に決まった。
私たちのもう一つの顔、それは簡単に言ってしまえば
キラキラとした青春恋愛ストーリーが一転、
おしまい
少女漫画のような恋をする話 冲田 @okida
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