第17話 美崎´ちゃん登場! 強いよ美崎´ちゃん!


「一気に決めるよ、綾ちゃん、今なら有視界で攻撃できる、ステルス関係ない!」


美崎ちゃんの声が聞こえて来た。


「おおおおおおー! ついに、ついに行くんですね、美崎様! 素晴らしい! 何もかも素晴らしい!」


ぺきぺき、ぐちゃぐちゃみたいな音が聞こえて来た。何をしてるの美崎ちゃん。


「大丈夫、医療機器を使っただけ」


「え、怪我したの? 大丈夫、美崎ちゃん!」


「怪我じゃありませんよぉ。美崎様´みさきさまダッシュになっただけです! 未開人はこういう事に大きな心理的壁がありますが、美崎様は勝利の為にはそういう壁もブチ破る! 素晴らしいぃぃぃ!」


白ネズミさんが大興奮。


「さあ、一分経ちましたよぉ。通信回復です」


回復するとともにエミリーちゃん


「作戦会議だかなんだか知らないが、一番弱そうなのを排除させて貰うぜ! 悪く思うなよ!人型ロボットなんかにしてるのが悪いんだ!」


「御免アル! 操縦席は狙わないから許してアル!」


「……」


VRドッチボールのコートは広く、七人のエミリーちゃんと三十人の鈴玉リンユーちゃん遠くにアリナちゃん。


最初にエミリーちゃんが、一斉にボールを投げて来たが回避!


「なんだと! あれを避けるだと!」


投げる寸前の動きで避けるのがコツだよ。


美崎ちゃんが、ポイントをセンサーに振ってるって言ってたからそういう事かな。


三十人の鈴玉リンユーちゃんも投じて来たが回避だよ!


地味にアリナちゃんが遠投して来てたけどそれも回避!


皆さん投げて来るけどわたしは逃げる、避ける!


これ攻撃されてるんだよね。絵的に判んないけど。


と、わたしの体からきらきら輝く紐がかなりの長さで出ているのに気がついた。


画面の数値表示見ると数キロメートルはあるよ。いつの間に!


そして、その先には……妙に小さい……あ、視界にサイズが出た。


十センチですと! 手の平サイズになってるよ美崎ちゃん!


甲冑のようなものを着てるけど、あれが美崎ちゃんの本当の『機体』だね!


宇宙戦士のオモチャみたいになってるけど、可愛い!


トーチみたいなの持ってるけど、どゆこと!


思わず口に出そうだったけど、慌てて黙る。他の三人と通信繋がってるもんね。


「綾、逃げながら、彼女達に近づいて。距離を取られてない今のうちに」


「えええ、無茶だよぉ!」


と言いつつわたし頑張る。 投げて来る彼女達に近づく!


「糞、ステルスが効いてない? 見えてるのか機体が!」


センサーに振ってるって美崎ちゃん言ってたからね。


電波は吸収してステルスしてるけど、視界には見えてるのだよ。


「綾がパイロットなのか! 設計者以外がパイロットとか規則違反じゃないのかよ!」


「綾さんはパイロットじゃないですよぉ。そもそも、あの大きい人型機は美崎様の機体ではありません!!!」


「ん、貰った」


紐の先がエミリーちゃんの頭の傍を通った時、ミニチュア美崎ちゃんが頭にしがみついた。


「コクピットの気圧低下? 何、一体どうなってやがる」


そしてエミリーちゃんの悲鳴。


視界の中にあるエミリーちゃんのアイコンに×マークがついた。


「うぉこここここ! 素晴らしい!ワタシ押しの美崎様が一機撃破ぁぁぁぁ! 超高機動のGに耐える為、消費ポイントの超高い自立射撃AIを設置せず、ポイント振っていた医療システムで自己改造!

軌道エレベーター用のワイヤーで振り回されながらも狙い済まして敵の操縦席付近へ着陸!

民生用ですが、硬いエンジンを切断廃棄する用のトーチを設置、風防を焼き切ってパイロットを倒したぁぁぁぁ!」


白ネズミさんが大興奮! 


「こんな戦い方、今まであったでしょうか! 無いですねぇ! 素晴らしい! 何もかも素晴らしい!」


異星の視聴者も大興奮なのか大歓声が聞こえて来た。


「ん、無力化した。次へいく。綾、お願い」


美崎ちゃんは淡々としてる。


古武術のお爺ちゃんと話してた覚悟ってそういう事?


殺したの? と美崎ちゃんに聞きたかったが、無力化したって言ってた。


殺してないと思う、美崎ちゃんなら殺したら殺したって言うもの。


「マ、マジあるか、信じられないア……」


鈴玉リンユーちゃんの言葉が途中で切れた。


そして鈴玉リンユーちゃんのアイコンに×のマークが付いた。


視界の隅でアリナちゃんが何回か鈴玉リンユーちゃんにボールを投擲、ぐにゃぐにゃ曲がってたからミサイルかな、顔を覆った鈴玉リンユーちゃんにボールが直撃して倒れた。


「こちらも、素晴らしぃぃぃ! 肉入り誘導ミサイルを発射、三十機で自動ガードされた機体を搭乗機と判断。

狙い澄ました大出力レーザーの一撃で屠ったぁぁぁ! ポイント内で設計された最高の機体と噂されただけありますぅっぅぅ!」


「肉入り誘導ミサイルって……あの最後に乗ってた兵隊さん達!」


「ん、そう」


と、伏せがちだった、アリナちゃんの顔のアイコンが上を向いた。


「ふ、ふふ、ふふふ……」


やだ、なんか怖い。アリナちゃんも良い子って信じてるよ。


鈴玉リンユーちゃんはエミリーちゃんと同じように死体って感じで描写されてないからね。

完璧主義の美崎ちゃんなら、死んだらちゃんと描写はするはず。


「最後の決戦です。見ないと損ですよぉ」


白ネズミさんが視界の奥、邪魔にならないくらいの場所にちいさな画面を表示してくれた。

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