赤い薔薇とバトルゲーム
ハンターシーカーアルゴリズム
第1話 お空に大きく見える赤い薔薇って何?教えて美崎ちゃん。
山沿いにある小さな街の公立高校。
「今日はこの時間
蝉の声鳴く夏の日。
わたし達一年一組の教室に響く担任の声。
先生の仇名は豚魚雷だ。校則違反を見つけると小太りの体でダッシュで飛んでくるから。酷いよね!女の先生なのに。
「えー何でー」
皆が不思議そうに声を上げるが先生は困った顔。
「何でだろうね、美崎ちゃん」
わたしは隣の席の美崎ちゃんに声を掛ける。
美崎ちゃんは軽く首をかしげる。
美崎ちゃんに判らないならわたしに判るハズも無し。ま、いっか。
教室の窓側に座る姫カットのクール系美少女美崎ちゃんの横顔は暑さにも関わらず凛としてる。長髪が夏の青空を背に美しく輝いてい綺麗。
学校一の美少女で良く男子から告白されてるけど全部一蹴してる。
モテないわたしとは大違いだね!
スポーツ万能、古武術も出来る。勉強なんか片手間で一番余裕。どこから取っても普通なわたし、
ちょとコミュ障気味でわたし以外とは余り話さないけどね。
小学校の頃、ドッチボールで逃げ捲くる私とアタッカーの美崎ちゃん。あの時以来の腐れ縁。
はっ、また見とれてしまった。美崎ちゃん綺麗だからなぁ。美術系のわたしは美しい物には目が無いのですよ。
「コラッ、余所見しない!」
前方からの先生の声にわたしは思わず肩を竦めるが先生は窓の方を見ながら時計を気にしているだけ。
美崎ちゃんを見ると綺麗でクールな笑顔で悪戯成功とこちらを見てた。
「もう!」
わたしは軽く怒る。
美崎の得意技の腹話術。しかも前後左右から声を聞かせられる謎腹話術!
お爺さんに教わった古武術の技らしいけど、ほんと凄い。
悪戯されて、慌てるわたしを見るのが好きらしい。
クールでわたし以外とは余り話さないのにー。
と、美崎ちゃんが三階の開け放たれた教室の窓から空を見上げる。
少し、切なげで厳しい表情。
クールな美崎ちゃんが余り見せない表情。というかわたしも見るの初めてかも。
美崎ちゃんが見上げる空には昼間でも大きく見える赤い金属の薔薇。
数ヶ月前にやって来てお空に浮かんだ謎の物体。
結構大きくて、青い空にぽっかり浮かんで、お月さまの三倍くらいの大きさで見えちゃてたり。
ネットでは異星人の宇宙船!とかそんな噂だけど、TVでは何も言ってないの。不思議。
最初は大騒ぎだったけど、皆慣れちゃたね。ニュースでも全く取り上げないし。
「美崎ちゃん、あれ何だろーね」
小声で問うわたし。頭の良い美崎ちゃんなら判るかもといつも聞いているのだ!
美崎ちゃんはいつも良く判らないと首をかしげていたが、今日は違った。
「最近あちこちハッキングしてみたんだけど」
はっきんぐとな?
ふみふみ。美崎ちゃんパソコン得意だもんね。
「あれは異星人の宇宙船……かな」
「ふむふむ異星人の宇宙船ね。ふーん」
……
「えっ!異星人の宇宙船ーー!」
思わず大声を出すわたし。
「綾さん。静かに自習しなさい!」
ちなみに
「綾~、何大声出してるの~」
皆にからかわれ真っ赤になって座るわたし。
「丁度良かったかもしれませんね」
先生は空に浮かぶ赤い薔薇の方を見上げ言った。不安そうだ。
「通達が本当ならそろそろだけど」
「え、何、どういうことですか先生!」
クラス委員の子が妙な事言出だした先生に尋ねている。
クラスの皆もざわめき出した。
妙な雰囲気。やだもー。
と、いきなりファンファーレとともにSF映画で見るような半透明の画面が目の前に浮かび上がった。
「キャー」
「何だこれ、ゲーム画面か」
「いや、PCのホーム画面みたいだが」
「どうやって消すんだ、消えにないぞ!」
クラスの男女が騒ぎ出す。というかパニック。
廻りを見ると皆の目の前に三十センチ辺りに半透明の青い板が!
「ななな、何これ美崎ちゃん! わかる?」
何かわからなかったら美崎ちゃんに聞く。これが一番。
美崎ちゃんは前を向いて物凄く集中してる。
が、わたしの疑問に答えてくれた。
「ん。綾、これ、面白いわ!!!」
あのクールな美崎ちゃんがは物凄く楽しそうな顔をしていた。
え? これそんな面白いの
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