第25話 思わぬ再会
「この戦法、他の探索者じゃ真似出来ねぇよなぁ」
「うん。テイマーとかは折角テイムしたモンスターを無駄に使ったりは出来ないだろうからね」
「別に収斗のスキルはモンスターの気持ちが分かるわけでもねぇし、ただ単純な指示に従うだけだからな」
「そうだねぇ。なんかモンスターに申し訳ない気がするけどね」
「けどよぉ、どうせ倒すんだから一緒だろ?」
「まぁ、ねぇ」
オークが前を進んでいる。
後を追いながら話をしているんだけど。
なんか、テイマーからは批判されそう。
何だかんだで五階層までは来ていた。
なかなか順調にいっている。
「自分の出番が無いっすね!」
「私も同じく」
オーガが時折出てくるんだが、賢人と僕が倒してしまうから猛と奈々の出番がなかった。
なんだか不貞腐れているみたい。
「じゃあ、交代しよっか」
「やったっす!」
「収斗ありがとー」
猛と奈々が前に出ると同時にオーガが三体やってきた。
「火の風」
「シールドバッシュ」
一体は炎まみれになり転がる。
もう一体は盾の衝撃で吹き飛んでいく。
残った一体は攻撃を仕掛けてきた。
「ドロドロ」
焦ったように奈々が足元をドロドロにする、土と水の混合魔法で足をとった。
その隙に猛がシールドの側面で殴りつけた。
「シールドエッジっすぅぅ!」
鈍い音を立ててオークの首は明後日の方向に曲がり絶命した。
その場で倒れる。
「【整理】」
僕が片付けてあげないとね。
指で動くように指示を出す。
穴を移動させて入れていく。
穴を移動させる事を思いついた時は画期的だと思った。
けど、思った以上にコツを掴むのが難しかった気がする。
「なんかお前達危なっかしくねぇか?」
「そんな事ないっすよ!? ねぇ? 奈々さん?」
猛は不満げに奈々に話を振るが。
「うーん。収斗との方がやりやすいかな!」
「マジっすか!? うわー。裏切られたっすー」
奈々に一蹴されて
しまう。
「はははっ。残念だったなぁ? 猛ぃ?」
賢人にからかわれている。
僕的にはそんなに悪くなかったと思うけどね。
奈々は自分が危なくなったからそう思っただけじゃないかな。
「じゃあ、賢人と猛でやってみたら?」
「やってみっか?」
「やるっすよ!」
僕が提案すると、賢人も猛もやる気満々だ。
一層下がると出てくる種類のオーガが多くなり、魔法を使うオーガマジシャンも混じってきた。
今も、火の玉が僕の頬の横を掠める。
「ちょっと。ちゃんと捌いてよ?」
賢人と猛に苦言を呈す。
「わぁってるって! 【天倶】」
ようやく近づいた賢人が切り上げの剣技でオーガマジシャンを倒した。
そこからは早かった。
「猛! 魔法を盾で防げよ!」
「そんなに俊敏に動けないっす! 重いんすよ? この盾!」
このままじゃ仲間割れしてしまう。
咄嗟に割って入る。
「まぁまぁ。敵側でも魔法職まで出てくると、前衛陣だけだと少し厳しいよね? ここからは皆で戦おう?」
「そうだな」
「それがいいっす!」
僕の提案は快く通ったみたい。
よかった。
「自分も移動できない訳では無いんすよ!」
「そうなの?」
「そうっす! 【不動明王】【盾移動】」
出せるスキルが増えたみたい。
不動のまま移動ができるという矛盾に満ちたスキルだね。
そして
なんなの?
シャレなの?
「こんな感じっす!」
「うん。なんか矛盾だらけだったね」
「そうっすか? 便利になったっす!」
「そうだね。よかったね」
「なんか収斗が冷たいっす!?」
冷たくないよ。
僕は温かい目で見ているよ。
うん。進もう。
「まず、行こう」
攻略を再開する。
今現在広い洞窟を進んでいる感じ。
だから何体も出てくると一気に相手をしないといけない。
スキルで縦に並べてもいいんだけど。
修行中に発見したことなんだけど、スキルを多用し過ぎると激しい頭痛に襲われて発動できなくなる事が判明したんだ。
これは他のみんなも同じだったみたい。
蒼太君がスキルに頼るなって言うのはこういう事なんだなとその時思ったんだ。
「オーガが三体! 奥にマジシャン! 猛は向かってくる敵を止めて。賢人は突っ込んで」
「おうよ!」
「はいっす!」
皆僕の指示に従ってくれる。
賢人が突っ込んでマジシャンを始末しようとするが、行く手をオーガに挟まれる。
「奈々!」
「オッケー! アースニードル!」
尖った土の針がオーガマジシャンを貫く。
殺られる前にやる。
それが作戦としては一番強い。
できればの話なんだけどね。
でも良かったよ。
やっぱり四人だと作戦の厚みがある。
足止めをされていた賢人は横薙ぎの一閃でオーガを切り伏せて二体目を相手している所であった。
二体目のオーガが少し強いみたい。
槍持ちだから中距離で戦われているために、やりにくそうにしている。
「ふっ!」
ナイフをオーガに投擲する。
投擲したナイフは察知され弾かれた。
だけど、それでいい。
「【
オーガの首は天へ舞い。
胴体は地面に落ちた。
賢人なら決めてくれると思ったよ。
「収斗! ナイスサポート!」
「どういたしまして! 賢人なら決めてくれると思ってたよ。奈々も狙い通りだったね。流石だよ」
「えへへぇ」
ユルユルな顔になる奈々。
いつもの明るい笑顔も可愛いけど、そのユルユルの照れた顔も可愛いね。
思わず見つめてしまった。
「あらあら。こんな所でお盛んですこと? そんなことする為に家を出たのかしら?」
見知らぬ魔法使いのマダムが訳の分からないことを言って歩み寄ってきた。
後ろにはエメラルドグリーの長い髪の女の子がいる。なんだか、見たことあるような。
家を出たって?
なんの事だ?
「な、なんでここに居るの? ……お母さん」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます