第22話 ランクアップと上京準備
それは突然だった。
「収斗くん達、『 明鏡止水』はみんなDランク昇格です!」
この日もDランクダンジョンの攻略が終わって帰ってきたら急にそんな事を言われた。
という事は、Cランクダンジョンに潜れる。
「Cランクダンジョンって何処にあるんですか?」
僕が聞いてみると、端末を操作して液晶に映し出した。
僕達がいる場所が点滅していて、Cランクダンジョンが赤く表示されている。
割と遠いかも。
でも、電車で行けばそんなに大変でもないか。
「二つ隣の街まで行けばあるわ。けど、南はここと、だいぶ北になるけど一個あるわ」
「それって、他の街行った方が早くないですか?」
「そうね。賢人くんのお父さんの所に行けば沢山ダンジョンがあるわよ?」
この県のCランクダンジョンを教えてもらったが、二つしかないと言う。
蒼太くんも大変だったんだろうなぁ。
Dランクダンジョン沢山攻略してCランクを攻略したんだろうか。
ダンジョンランクの上がり方として、Cランクに上がる場合、Cランクダンジョンを最低二つは攻略していないといけない。
Cランクダンジョンの数が、最低数の場合はDランクダンジョンを十五程攻略して回らなければいけない。これが大体の目安だ。
と言ってもあくまで目安でそもそも強ければいいので、収斗達は攻略しているところを配信しているため、ギルド長からの許可が出たのだ。
こういう時に配信の機能は便利である。
ちなみに、蒼太くんは配信は一人ではやりたくないんだそうだ。機会が苦手とかなんとか。
「賢人、この際皆で迷宮の街、
僕が聞くと悩む素振りを見せた。
そして、ここで意外な事実が。
「自分の親達も実は迷京都にいるんっすよね」
「実は……私も……」
「えぇ? そうなんだ。なんで田舎に居たの?」
僕は素朴な疑問をぶつける。
こんな田舎に居たらランカーにもなれないし、注目もされ────。
だからか。
そもそも注目されたくないから。
だから田舎に居たのか。
僕とは理由が違うけど、目立ちたくないのは一緒か。
人がいいことに漬け込んでいた僕みたいな最低な人間とは違うんだろうけど。
「人目につかないためだな」
「自分もそれっすね」
「私も」
「……そっか。どうする?」
僕が問いただすと少し悩んでいたみたい。
ここの環境を手放すのも少し抵抗がある。
せっかく過ごしやすくなったのに。
でも、Dランクダンジョンを潜って素材を集めて生活する安定した暮らしは細々としたものだ。
稼ぐには迷京都を目指すのが常識となっている。
「行くか。シェアルーム借りれば行けるだろ」
「いいっすねぇ! 賛成っす!」
「私も…………行く……かな」
奈々は最近変なんだ。
何だか上の空って感じなんだよな。
「奈々、大丈夫?」
「う、うん! 大丈夫だよー!? あー! 楽しみだなぁー」
僕達のパーティーとしての資金は実は百万を超える。
それも動画がバズったのと素材の買取額が高いということが要因としてはある。
「住むの何処がいいかなぁ」
「迷京都だったら
ここで軽く迷京都の造りについて説明をするね。
・
S級ダンジョンがあるエリア。
このエリアにはA級以上の探索者しか入ることは出来ない。
魔物がダンジョンから出た時のことも考え、大きな壁で覆われているのだ。
固いコンクリートで作られたビルが建ち並ぶ。
そのビルの上層階にしか飲食店はない。
これも安全のため。
・
Aランクダンジョンがあるエリア。
このエリアにはB級以上の探索者しか入れない。
ここも壁で覆われている。
店はシャッターで閉じられていて、探索者カードをかざすと開く仕組みになっている。
・
Bランクダンジョンがあるエリア。
フェンスで囲われているエリアになり、ここまで来るとようやく店が普通になる。
ただし、店員はCランク以上の探索者並に戦闘できないとダメ。
・
C、Dランクダンジョンがあるエリア。
普通に繁華街がある。
ここは自由に人が行き来できる。
なので、住宅街やマンションも多く建ち並ぶ。
・
一般の人の居住エリアとなっている。
だいたい四殻で働いている人が多い。
ていう感じなんだ。
「そうだね。そこで賃貸の物件を探そう」
少し探しだすと色々な物件がある。
けど、お金はあるから新しくて綺麗なところを選ぶ。
部屋はLDK以外に四部屋欲しいよね。
そうなってくると、必然的にマンションになるんだよね。
ま、それでもいいか。
「あっ! ここなんてどうかな? 割と安いんじゃない?」
「おぉー。一人五万って感じだな。いいんじゃねぇか? 安い方だろ?」
「だね。求めているものが4LDK以上だからね」
そう。理想が高いから。
「じゃあ、もう電子契約しちゃうね」
「おう。頼むわ」
賢人がいいって言うからもう契約しちゃおう。
奈々と猛はこだわりは無さそうだったからいいでしょ。
賢人が一番うるさいんだから。
汚いだの古いだの。
「よしっ! じゃぁ、住むところが決まったから、新幹線のチケットを買って今週末には行くよ!」
「おう! 荷物まとめて準備だな!」
「私も今のアパート解約しなきゃ!」
「自分も片付けなきゃっすね……あっ、片付けと言えば……」
みんなの視線が僕に刺さる。
分かってるよ。
僕のスキルが最適だよね。
「みんなの家にお邪魔して荷物をスキルでしまって行こうか」
「わー! 助かるー!」
一番喜んでいるのは奈々。
奈々の部屋……散らかってそう。
どうしよう。
「収斗、お願いね?」
上目遣いでお願いしてくる。
それは反則ではないだろうか。
従わざるを得ないのであった。
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