最終話

【佐藤裕也 視点】



 昨日、俺は夏美と生でエッチした。

 そのせいで今も身体が怠い。


 あぁぁ……賢者タイムマジでキツイわ。

 今日は一歩も動きたくない。


「ん?」


 突如、夏美が電話をかけてきた。

 ん? なんだろう?


 とりあえず、俺は電話に出た。


「もしもし、夏美だよな?」

『うん、そうだよ』


 スマホのスピーカーから夏美の声が聞こえてきた。

 相変わらず、夏美の声は可愛いな。

 めっちゃ癒される。


「なんでこんな時間に電話してきたんだよ? 何か用事があるんだろ?」

『それはその……』


 俺の問いに夏美は返事を窮する。

 答えたくなさそうだった。


 ん? なんだ? 

 なんか様子が変だぞ?


 しばらくして夏美は口を開いた。


『裕也くん、アタシと別れてください』


 夏美の言葉に俺は「……ぇ……」と絶望混じりの声を漏らす。

 コイツ、今なんて言った……?


「な、夏美……冗談だよな?」

『ううん、冗談じゃないよ。アタシ本気だから』

「いやいや、意味わかんねぇよ。なんで急にそんなこと言うんだよ? お前はもう俺のこと好きじゃないのか?」


 俺がそう言うと、夏美は返事してくれた。


『アタシね、もう裕也くんの身体じゃ満足できないの』

「え……?」


 俺の体じゃ満足できないだと?

 それって……。


『裕也くんじゃダメなのっ。颯太くんの体じゃないと満足できないのっ』

「……」

『だからアタシと別れてください』


 夏美にフラれた。

 なにこれ……。

 めっちゃショックなんだけど。


「お前は……俺と別れて颯太と付き合うつもりなのか?」


 俺の言葉に夏美は『うん……』と返事した。


 夏美のヤツ、俺と別れて颯太と付き合うつもりなのか。

 なんだよそれっ。

 なんなんだよそれはっ……。


 それはいくらなんでも酷すぎるだろっ。

 

 俺は本当に夏美のことが好きなんだぞ?

 お前のこと世界で一番愛してるんだぞ?

 結婚まで考えてたんだぞっ。


 なのに、どうして俺のこと選んでくれないんだよ。

 どうして颯太なんだよっ。


 クソっ、クソっ、クソっ。



 ◇◇◇




【颯太 視点】




「颯太くん好きっ、大好きっ。ちゅっ、んちゅっ」

「夏美ちゃん……」

「ちゅっ、んちゅっ……」


 現在、俺はラブホテルの中で夏美ちゃんとキスしていた。

 やっぱり夏美ちゃんとキスするのは最高だ。

 めっちゃ気持ちいい。


 今まで色んな女の子と付き合ったことあるけど、やっぱり夏美ちゃんが一番だな。

 もう他の女の子じゃダメだ。

 夏美ちゃんじゃないと満足できないっ。


 たぶん、俺は夏美ちゃんのことが好きだ。

 彼女を愛している。


 夏美ちゃんも俺のことが好きらしい。

 俺たちは両思いなんだ。

 嬉しいっ、めっちゃ嬉しい。


「ちゅっ、ちゅっ……颯太くん、好きっ、大好きっ……」

「俺も大好きだよ、夏美ちゃん……」

「嬉しいっ、ちゅっ」


 俺たちは熱いキスを続ける。

 キスしすぎて口元からドロっと涎が垂れてきた。

 その涎は床に零れ落ちる。


 一旦、俺たちは唇を離す。

 すると、俺の唇と夏美ちゃんの唇の間から透明な糸が引いていた。


「夏美ちゃん……もう裕也とは別れたのか?」

「うん、昨日別れたよ」

「ははっ、そっか」


 もう裕也とは別れたらしい。

 裕也には申し訳ないけど、夏美ちゃんはもう俺のモノだ。

 絶対に他の男には渡さないぞ。


「ねぇ颯太くん」

「ん? なに? どうしたの?」

「アタシたち、もう恋人なんだよ……?」

「うん、そうだよ。もう夏美ちゃんは俺のモノだ」

「そっか……アタシたちもう恋人なんだね。嬉しいっ、凄く嬉しいよ、颯太くんっ」

「え!? あっ!? ちょっと!? 夏美ちゃん!?」


 急に夏美ちゃんがハグしてきた。

 ムニュっと豊満な胸が俺の胸板に当たる。

 うん、めっちゃ柔らかいっ。


 俺も夏美ちゃんの背中に手を回して、ギュッと抱き返す。

 すると、彼女は「えへへ」と蕩けた笑顔を浮かべる。

 俺にハグされて、凄く嬉しそうだった。


「夏美ちゃん、これからよろしくな」

「うんっ、よろしくね、颯太くんっ」
















 



完結


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大好きな彼女に裏切られた 理亜 @ria012345

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