教室ごと転生したら、帰宅部のぼくが最強だった

サボテンマン

第一章 プロローグ

 青春とは孤独との戦いである。


 いつもどおり騒がしい教室のすみっこで、ぼくは観葉植物のように風景の一部に溶け込んでいた。いや、観葉植物のほうが酸素を吐き出しているぶん、ぼくよりも幾分か優秀だ。


 ぼくは酸素を出すどころか吸ってしまっているのだから、存在しないほうが良いのかもしれない。


 入学してからクラスの不良のように迷惑をかけたことも、クラスの中心人物のようにリーダーシップをとったこともないぼくが、この教室にいてもいいのかどうか、クラスのだれも興味を持たない疑問を抱えながら、ぼくは机に突っ伏している。


 どうせ存在感がないんだ、いっそ瞼の裏に潜む暗闇のなかに溶け込んで、人知れず消えてしまえないだろうか。


 授業と授業の間に待ち受ける小休憩の時間、ぼくは暗闇に逃げ込んで次の授業のチャイムを待つ。そうしていれば、誰に迷惑かけることもなく、だれからも迷惑をかけられることもなく青春が終わると知っている。


「おい、窓のそと」


 誰かの一声で教室がざわめく。


 なんだろう、気になる。ぼくは休憩時間にも関わらず久しぶりに頭をあげた。


 みんなの視線が集中している、窓のそとに目をやる。


 まぶしい、なんだ。

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