ご対面

肩で息をしながら兄の病室に入り、未だ意識がないまま横になっている兄を見つめる。

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兄さん、、

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この10年間でいろんなことがあった。

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兄さんの代わりとして生きるのは大変だった。

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捕まる前に、兄さんに会いたい。

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もう一度、兄さんの弟として生きたい。

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そう強く願った時

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病室のドアを開ける音がした。

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振り返るとそこには

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「っ!!」

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火事の時に助けたあの男性が立っていた。

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つまりそれは

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「父さん、、!」

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「別人を殺すなんてお前は相変わらずまぬけだな」

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「俺はお前が兄ちゃんと入れ替わってるってすぐ気づいた、一緒に入院することになった時は俺のことがバレないかひやっとしたが、お前は全然気づかなかった、勘の悪さは昔から変わってなかったな」

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そう言って、あざ笑いながら僕の方に近づいてきた。

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「兄ちゃんの方だったら、バレてたかもしれないなぁ、生きてたのがお前で助かったよ」

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そう言いながら上着のポケットに手を入れて

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ナイフを取り出した。

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僕の目の前まで近づいて、振りかぶったナイフを思い切り振り下ろしてきた。

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すれすれのところで避けて父さんを突き飛ばしたが

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父さんは何度も僕にナイフを向けてくる。

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本気で僕を殺すつもりだ。

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必死に抵抗し、別人の顔をした父さんと揉み合いになる。

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激しい揉み合いが続いて

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「グサッ」

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ナイフが僕の腹に刺さった。

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僕はその場に崩れ落ちた。

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床に倒れた僕を見た後、父の視線はゆっくりと兄の方へと動いた。

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#次回最終回です

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