復讐のための10年間

「そうか、まだ犯人は捕まっていないんだね、、私もあの事件の事は詳しくは聞いていないんだよ、、役に立てず申し訳ない。」

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男性は静かにそう言った。

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当時の事件については何も知らないようだった。

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「あの、僕はあなたにずっとお礼がしたいと思っていました。

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あの炎の中、助けに来てくれたのはあなただけです。

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母親は死んで、父親と弟は10年経った今でも植物状態ですが、懸命に生きようとしています。

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いつか必ず目を覚ますと信じています。

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今日あなたの命を救う事が出来て、消防士になって良かったです。」

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僕の思いを告げると、男性は複雑そうな顔をして頷いた。

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無事に検査が終わり、僕と男性は同じ日に退院した。

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「それでは、お気をつけて」

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男性に別れを告げて、病院を去った。

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我が家が放火されてから10年

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僕はこの10年間、犯人を捕まえるために1人で事件の調査を進めていた。警察に任せていても犯人は見つからない。

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当時を知る救急隊の男性に再会して、手掛かりが掴めるかもしれないと思ったが、有力な情報は得られなかった。

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僕の家庭を壊した奴は、必ず僕が見つけ出す。

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見つけ出して

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復讐してやる

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この10年間、そんな思いを秘めていた。

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退院してから半年後

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僕は唐突に、犯人を知ることになった。

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