十三話
ベッドに寝転がり、天井を見つめながら私は長いこと考えていた。アレクのこと。そして私を狙っているかもしれないという男達のこと――あの日、思い切って気持ちを聞いたけれど、アレクには上手くはぐらかされてしまった。大事な存在とは言ってくれたものの、自分を好きになるなとも言っていた。気持ちはどちらにあるのか……大事な友達でいたいのか、大事な女性にしたいのか。けれどわかっているのは、私のこの気持ちだけだ。アレクへの思いは変わらない。これを受け入れてくれるのなら、私はすぐにでも飛び込むつもりがある。何もかも捨ててでも、あのお側へ。そんな私の背中を押せるのはアレクだけ。あの日にそれが叶うはずだったのに……また確かめに行かなければならない。次こそ本当の声が聞けるといいのだけれど。あんなふうにはぐらかされず、アレクの心の声そのままに。
けれどアレクのことと並び、思いも寄らない問題が生まれてしまった。私を狙う男達のこと――それだけならまだましだったかもしれない。その上にいる占い師のジュノーと聞いた瞬間、私は耳を疑ったと同時にわけがわからなかった。私を襲った男達とつながっていたことも信じられなかったし、アレクの店を襲う指示を出したというのも意味がわからず理解できなかった。ジュノーは優秀ではあるが、至って普通の占い師だ。金品に執着したり、人一倍野心を抱いているような女性ではない。自分のすべきことにいつでも真面目に向き合っている。だから皆に信頼されて占ってもらうのだ。そんな彼女が裏で悪人とつながっているなんて、それが事実と言われても私はやはり信じることができない。何度も顔を合わせ、話しているから余計にそう思ってしまう。暴力や犯罪という言葉はジュノーとは真逆のものだ。彼女の中には存在しないものだと感じていたのに……本当はそういう人間だったの? 私達にはにこやかに接しながら、裏では誰かを苦しめる悪い行いをしているの? 私はどうしたらいいのだろうか。本人に直接聞くことなんてできないし、こんな疑いを抱えたまま、普段通りの会話ができるかどうか……。何せアレクの話通りならば、私を狙う男達に指示を出しているのはジュノーなのだ。つまりジュノーが私に何かしらをしようとしていると言える。私は彼女に恨みを買うようなことをした覚えはないけれど。むしろ占ってくれることに感謝しているのに。険悪になったことだって一度もない。ジュノー……あなたは本当に、何かたくらんでいるの?
私は身体を起こし、考えをまとめた。身の危険があるかもしれない中でアレクにまた会いに行くのは、やはり少し怖い。それにジュノーが本当に話通りのことをしているのか気になるところでもある。アレクの元へ行くのは、その真偽を確かめてからでも遅くはないだろう。よし……探ってみよう。
まず確かめるべきは、ジュノーと男達のつながりだ。指示を出しているのなら直接会っていたり、手紙でやり取りをしているはず――そう考え、私は早速伝書係に最近ジュノーが手紙を持って来ていないかを聞いてみた。けれど最後にジュノーが手紙を出したのは数ヶ月前で、最近は見ていないという。男達とは手紙でやり取りはしていないのかも……となると、どこかで直接会っている可能性が高い。たとえ男達を友人と偽っても、庶民である者を城内に招き入れることはかなり難しい。ジュノーは部屋を与えられ、認められてはいるけれど、私達の知らない人間を好き勝手に呼んでいいかと言えば、警備の観点から許されないだろう。ジュノーの人柄としても、そんなわがままを押し通すとは思えない。つまり男達とは城外で会っているはず。
そう考えて私は思い出したことがあった。以前ジュノーとのおしゃべりの中で、占いをしない日は何をしているのかと聞いたことがあった。これに彼女は、城下に残している家の掃除をしに行っていると答えていた。思い出の詰まっている家で、いつでも戻れるように定期的に帰っていると言った。その家ならば男達と会うのに打って付けなのでは? 誰にも怪しまれず、堂々と会うこともできるし――私は占いを頼むふりをしてジュノーを部屋に呼んだ。そこで何気なく予定をたずねてみた。
「――明日の夜は、また一時帰宅させていただきますので、それ以前のお時間でしたら、いつでも占って差し上げられます」
明日の夜……行ってみるしかない。
そして行動の時が来た。
夕食後、私は早めに休むと言って、いつものようにこっそりと城外へ出た。中央地区を抜けた辺りで民に混じり、ジュノーが来るのを待った。城から城下の家へ行くには必ずここを通らなければならないから、待っていればそのうち現れるはず……。
そうして三十分が過ぎた頃、大通りの奥からケープをまとった見慣れた顔が歩いて来た。小さなかばんを持ち、颯爽と歩く姿はジュノーに違いなかった。私は少し距離を置きながらその背中を追って行く。家がどこにあるのか知っていれば先回りもできたけれど、わからないのではこうして尾行する他ない。あまり気の進まない方法だけれど、真偽をはっきりさせるためには仕方がない。
夜でもまだ人通りの多い道を歩き続け、やがて喧騒を抜けると静かな住宅地に入った。人影はなく、民家の灯りもまばらで辺りは暗い。ジュノーとの距離をさらに開けつつ、見失わないよう注意しながら追う。と、一軒の小さな家の前でジュノーの足が止まった。ここが彼女の家? と見てみれば、玄関の前に二つの人影が見えて私は息を呑んだ。
「……もう来ていたのね」
「報酬を貰わないといけねえからな」
そう言ってヒヒッと笑った顎ひげの男と、その隣に立つ坊主頭の男……私を襲った追い剥ぎの二人組!
「どうぞ、報酬よ」
ジュノーはかばんから布袋を取り出すと、それぞれに渡した。受け取った二人はその中身を確認すると満足そうに笑う――そんな、ジュノーと男達は本当につながって……。
「そちらの状況はどう?」
「どうだろうな。ちょっと鈍い感じもあるが、わかんねえ」
「もうちょっと様子見したいところだ。でそっちの王女様は?」
「こちらは順調そうよ。そちら次第で何も問題はないわ」
私を襲った男達と普通に話すジュノーを見て、私は身体が震えそうな感覚だった。ジュノーのことをまだ信じていた自分がいたから、だからアレクの話通りになっていることに、恐ろしさや悲しさ、憤りが胸の中に渦巻いて私を揺さぶっていた。目の前の光景を信じたくない。けれど、これが真実……。
「状況が変わっていないようなら、このままお願い。何かあればその時にまた頼むわ」
「了解。じゃ、また」
男達がこちらへ歩いて来るのを見て、私は慌てて近くの民家の壁に隠れた。息を殺し、二人が通り過ぎるのを待つ。
「――あの野郎は何で王女に近付こうとしねえんだろな? 器量好しの娘だってのに」
「犯罪集団ってのは警戒心が強い。けど時間の問題だろ」
「さっさと二人がくっ付いてくれりゃいいがな……にしても、まさか他人の縁結びでこんなに金が貰えるなんてな。最初はどうかと思ったけど、もっとやってもいいかもな」
笑って話しながら通り過ぎて行く二人を私は眺める――今の会話は、私のこと? 縁結びって、一体どういうことなの? あの男達は私とアレクを近付けさせようとしていた……?
二人の姿が見えなくなったのを確認して、私は静かにジュノーの家へ向かった。彼女はすでに中へ入ったようで、窓からほのかな光が漏れていた。玄関に近付き、その扉を叩く。問いたださなければ。ジュノーのしていることを、隠しているたくらみを……!
足音が近付いて来ると、扉はすぐに開かれた。
「まだ何か話したいことでも――!」
男達と思って開けたようだったが、私の顔を見た瞬間、ジュノーは動きを止めて固まった。
「な……なぜ、姫様が……」
「なぜと聞きたいのはこちらよ。あの男達となぜ一緒にいるの? あの者達は追い剥ぎよ」
普段は落ち着いた表情しか見せないジュノーが、見る見る動揺した表情に変わっていく。
「……見て、おられたのですか?」
「見られたくないことだったかしら」
「い、いえ……」
「彼らに、何を指示しているの?」
ジュノーの驚いた目が私を見る。
「あなたは私に対して、何をたくらんでいるの?」
そう聞くと、怯えて凍り付いたような表情を浮かべたジュノーは、視線をさまよわせ黙り込んだ。
「城の皆がジュノーのことを信頼しているわ。そんなあなたが悪いことをするはずないと思っている……教えて。正直に」
うつむいて黙るジュノーだったが、その表情を歪めると、目を潤ませながら言った。
「……申し訳、ございません。申し訳……」
「話してくれるわね?」
頷いたジュノーは私を部屋へ招き入れてくれた。
こぢんまりとした部屋は一人で暮らすには十分な広さだ。一部屋の中に台所やベッド、机やタンスが並ぶ。定期的に掃除をしているだけあり、物は整頓され、どこも綺麗だ。私はろうそくの灯りがともる机を挟み、ジュノーと向かい合って椅子に座った。
「あの、姫様は、なぜここを……?」
「悪いけれど尾行させてもらったの。アレクからあなたの名前を聞かされてね。彼の店を襲撃させた依頼人だと」
これにジュノーは気まずそうに目を伏せた。
「ご存知だったとは……どこからお話しすればいいでしょうか……」
「初めからよ。すべて、話して」
「わかりました……」
ジュノーは弱々しい眼差しをこちらに向けて話し始めた。
「姫様に対して最初に行ったことは、占いです。占いの結果で、城下に運命の男性がいると告げ、向かわせる……それが最初です」
これに私は呆然とした。
「あ、あれも、あなたのたくらみの内だったの? では、占いの結果は本当は……」
「嘘でした。運命の男性など占ってはおりません。ただ城下へ行っていただきたいがために作った嘘です」
つまり、アレクは私の運命の人ではなかった……私がそう思い込んでいただけ……。
「あなたの占いを信じていたのに……どうしてそんなことをしたの? 何のために嘘などついたの?」
「姫様を城下へ……西地区へおもむいていただき、そこで、追い剥ぎに襲わせたかったのです」
「追い剥ぎ……!」
あれもジュノーの指示だった……男達も最初から行動し、ジュノーとつながっていたのね。
「ですが姫様を傷付けるのが目的ではなく、ただ金品を奪い取らせるためだけに、あの者達を……」
思い返せば、確かに追い剥ぎは脅すだけで暴力は振るってこなかったけれど――
「何のためなの?」
「姫様を……城内で、おとしめるためです」
私を、おとしめる……?
「密かに城下へ出かけ、その挙句に金品を奪い取られたと知られれば、王女としてのご自覚や、その印象、態度を疑うことになり、陛下のご期待も小さくなると……そういう計算でした。しかし予想外なことに、姫様は無事なままお戻りになられてしまい、しかも運命の男性にも会えたと仰られ、私は内心驚いておりました」
アレクと出会ったことをジュノーに報告した時、彼女は意外そうな変な顔をしていた……あれは計画とは違うことが起きてしまったから、思わず浮かべた表情だったわけね。
「次こそはと、占いでもう一度姫様には城下へおもむいていただきました。ですがまたしても失敗し、私は計画を考え直すことにしました……運命の人と思い込まれた男性と、一緒になっていただこうと」
先ほど男達が話していたこと……。
「姫様はその男性に助けられ、お慕いするようになりました。なのでまた同じような状況を作るため、姫様が城下へおもむかれる日に、男性が働く店をふていの者達に襲わせました。そして明らかに住人でない女性を見つけたら、手は出さず怖がらせてほしいと頼みました」
襲撃が起きたあの時、ジュノーの説明通りの目に私は遭った。その後アレクに助けられ――
「そうすることで一緒におられる男性は必ず姫様をお助けになると考えました。危険を乗り越えることで、お二人のお心がさらに近付くと思ったのです」
「それが、襲撃を指示した理由……」
私の気持ちはジュノーによって誘導されていた……けれどこれは決して作られた気持ちではない。運命の人と思い込まされてはいたけれど、慕うようになったのはあくまで私の意思。アレクを好きな思いは今だって変わらない。しかし――
「ジュノー、あなたのしたことはわかったわ。けれどその意図は何なの? 私をおとしめようとした次はアレクに近付けようとして……一体何が目的なの?」
「それは……」
うつむくジュノーは言い淀む。
「ここまで明かしてくれたのなら、最後まで教えて。でないと私は帰れないわ」
迷いを見せながらも、ジュノーは静かに口を開いた。
「……姫様に、城を出ていただきたかったのです」
「どういう意味……?」
「つまり、王女や王族というお立場を捨て、城下に下っていただきたく……」
城を出て、私には一庶民になってほしかった――それを聞いてハッとした。以前ジュノーにアレクとのことを相談した時、そういう助言をされた。王族から抜ければ自由を得られると。あれも、親身なふりをしながら私を誘導するために……。
「……あなたは、計画を立てて城から追い出したいほど、私のことを憎んでいるの?」
「そ、そのようなことは――」
「けれどそうでしょう。負の感情がなければ、こんな計画を実行するはずはないもの。私はあなたのことを友人のように感じ、接していたつもりよ。でも知らぬうちに、あなたを傷付けることをしていたのなら――」
「傷付けられたことなど何もございません! 私は、姫様を占って差し上げられることを、とても光栄に、幸せに感じております」
「ここには私達だけしかいないわ。別に怒ったり、引っ叩いたりもしない。あなたのわだかまっている気持ちを正直に言って」
「ですから、そのような思いは何も……姫様に対して負の感情などございません」
「それでは納得のしようがないわ。あなたは私に何かしらの思いがあったから、城から追い出そうと行動したはずよ。この期に及んで嘘などつかなくてもいいわ」
「嘘は申しておりません。すべて本心です」
ジュノーはおどおどした様子でこちらを見てくる。
「……では、一連のたくらみは、気の迷いだったとでも言うの?」
「私は、どうかしておりました。きっと心を病んでいるのです。でなければ姫様にこのようなことをするはずがございません」
両目を強く瞑ったジュノーは自省を込めた口調で言った――心を病みながら、ここまでの計画を立てられるわけがない。男達に私を襲わせても、傷付けないようジュノーは気遣ってくれていた。そこには彼女の正気と思いやりが見える。ジュノーは病だと偽り、そして何かを隠している。私に言いたくないことを……。
「本当のことを教えて。病だなんて私には通用しないわ」
「ご勘弁ください……お願いです」
消え入りそうな声でジュノーは身を縮める。しかし、こんなことをするのが彼女でなかったとしても、私に対してよからぬ感情が存在しているのは間違いないことだ。でなければ城や王族から追い出そうなどと思い付きもしないはず――そう考えている時、私はアレクの話していたことを思い出した。
『――ジュノーも王侯貴族に使われる身だ。その裏にまた指示してる人間がいてもおかしくはないけど……』
私はうつむくジュノーを見つめた。彼女が嘘をついていないのだとしたら、恨みも憎しみも抱いていないとしたら……そもそもこの追い出し計画とジュノーとは、私の中ではあまりに結び付かないものだ。彼女はこんな大胆な悪だくみのできるような人間ではないから。そうなるとジュノーは自分の意思で行ってはいないのかも。誰かに言われ、その通りに従っただけなのかも……。
「ジュノー、あなたは誰かに指示をされているのではないの?」
そう聞くと、ジュノーは一瞬息を止め、身を固まらせた。
「……違います。誰の指示もありません。私独りで、行ったことです」
こちらを見ずに硬い声で答える様子はいかにも怪しく思えた。ジュノーに指示を出せる人間……城内にいればいくらでもいるだろう。その中で私を追い出したい人間とは……言い方を変えれば、私を追い出して得をする者がいるはず。よく考えるのよ。ジュノーは当初、私を城内でおとしめようと考えた。けれど失敗し、次は城から追い出す計画に変えた。初めから私を追い出したいのであれば、なぜ最初は違う行動をしたのか。気持ちの変化と言ってしまえば簡単だけれど、そこにはジュノーに指示を出した者の意図があるはず。おとしめることで満足な結果を得ようとした。そしてそれは城を追い出すことでも得られる。私が王族から抜け、消えること――まさか、王位継承権? 王族から抜ければ、もちろん私は王位を継げなくなるし、城下へ密かに行って追い剥ぎに遭ったことが知られれば、父上はきっと時期国王としての資質を疑うだろう。私をそんな目に遭わせて得をする者は一人……私に次ぐ第二王位継承権を持つミシェルだ。あの子がジュノーに指示を? それはあり得ない。だってミシェルはまだ七歳の子供だ。王位のために細かな計画を立てられるような年齢ではないし、王位そのものにこだわるとも思えない。ミシェルに代わり計画を立てた者がいるなら――
「……レオノーラ王妃……」
私の呟きにジュノーはわずかに肩を揺らした。当たりね――お義母様はミシェルを溺愛しているから、私なんかより自分が産んだ息子を国王にしたいはず。あるいは将来、国王の母として権力を握りたいのかも。何にしても、以前からそりが合わないお義母様なら、私を追い出そうと考えても不思議ではないし、ジュノーも従うしかない相手だ。
「すべて、お義母様に言われたのね」
「………」
「お義母様に目をかけられて城に来たあなたには、大きな恩がある……だからなのではないの? ねえ、お願いだから答えて」
静まり返った部屋と同化するように黙り続けるジュノーを私はじっと見つめた。その唇が動くのをいつまでも待つつもりでいた。けれど最初に動いたのは頭だった。ガクッとうなだれたと思うと、震える両手がそれを抱えた。
「……姫様の、仰る通りです……断ることなど、私にはできなかったのです。王妃様に嫌われてしまうのが怖く……ですが、それでも勇気を出し、断るべきでした」
「あなたの立場や気持ちは理解できる……よく教えてくれたわね」
「姫様……お許し、ください……!」
声を震わせながらジュノーは泣き伏した。その様子は彼女が胸の内で独り苦しんでいたことを感じさせる。私を笑顔で騙し、指示した男達に襲わせ、王族を抜けるようそそのかす……それらはすべてジュノーの意思ではなく、お義母様の意思だった。彼女を苦しめる悪意、そして私に向けられる悪意……その尖った見えないものに私は反発を覚えながらも、同時に知ってしまった今、どうすればいいのかと、脳裏でほくそ笑むお義母様に薄ら寒さを感じていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます