第四の試練はいきなり始まる。
第四の試練に続く道は大きな下り坂だった。
「こっからもっと下に行けるみたいね。そろそろ試練は終わりじゃない?」私は期待を膨らます。
「いや、記録によると試練は五つある。これを含めてあと二つだな。」教授の言葉に私は落胆する。
「帰らせてよ…」私はため息をついた。
ともかく私たちは下り坂を降りていく。
・・・・・・・・・・・・・
「でさ、その学生が魔王の攻撃でレポートが燃えましたって言ってきてさ?」
「いやいや、言い訳ひっどい。ふふふ。」
「それで勿論単位あげなかったんだけどさ、そしたらその学生が正装で部屋に来てさ?」
「あっはは!それであの話に繋がるのね?」私たちは楽しくモンスター学生の話をする。
「そうそう。それでその後教務課から…ん?今なんか変な音しなかった?」教授が振り向く。
「そう?私は何も。」
「いや、なんか近づいてきてる気が…」教授は音のする方を凝視する。
「確かに、なんかゴロゴロ聞こえるわね。」私も目を閉じて耳を澄ますと何か変な音が聞こえてきた。
「照らせる?」教授は尋ねる。
「しょうがないなぁ。」私はそうやって音のする方を開く。
「何も見えないな。」
「そうね…って!何あれ!」私は違和感を感じ指をさす。
「確かに壁が迫ってきて…大岩が転がってきてる!」教授は叫ぶ。
「まずい!走って走って!」私は教授の背中を押す。
私たちは全力で転がってくる岩から逃げる。
「潰される!走れ!」教授は喚きながら下り坂を駆け降りる。
横に逃げろよとか言ってくる第三者がいるかもしれないが、なかなかこの試練は凝った作りで穴の大きさとほぼピッタリの大きさの岩を転がしてくるのでそんなことはできない。体力が尽きるまで逃げ続けるのだ。
「いや、これはかなり不幸な出来事だが、考え方を変えれば良いダイエットなのでは?」私はそう考えた。その瞬間気が散っていたのか躓いて転けた。
余計なことを考えた報いを受けた。そう思いながら私は倒れ込む。
「イリーナさん!」教授は倒れた私を助けようと戻ってくる。
「ダメ!私は大丈夫だから行って!」私は呼びかける。
「だがこのままじゃ!」教授は食い下がる。だが、足を止めてしまった教授はもう逃げきれない。
このままでは私はともかく教授はミンチになる。そう考えていると足のあたりに岩が接触する。足先に強めの衝撃を感じる。
「止まった?」教授は困惑する。
「止まったの?」足を挟まれて動けない私は質問する。
「ああ!この岩結構大きさがギリギリだからいい感じに挟まって岩が止まってる!」教授が興奮しながら言う。何興奮してんだお前。
「でも大丈夫?いきなり割れたりしない?」私は恐る恐る質問する。
「割れるって?骨が?」
「いや、岩が。」
「そっち?」教授は困惑する。
「こっからどうする?」私は尋ねる。
「どうしよう。」教授は困る。
「この先が見たいなら先に一人で行って見に行ったら?私ここで待ってるけど?」私は提案する。
「いや、その状況で待つの?」教授は困惑する。
「それに、君を置いていったら第五の試練で詰むかもしれないし、何より戻れないしね。」教授はそう言いながら私の腕を掴む。
「え?何を?」私は困惑する。
「こうやればいいんじゃないか?」教授は私を少し引っ張る。
「え?ちょっと何やってんの?死にたいの?」私は教授に必死になって呼びかける。
だが、驚くべきことが起こった。
教授が私を少し引っ張ると、岩も少し動く。少ししか動かないので変に勢い付いて転がったりしない程度に動くのだ。
そう。つまり私を少しづつ引っ張りつつゴールまで行くのだ。
かくして異世界デーモンコアが始まった。
どれだけかかったかもはや考えていなかったが、なんとか大岩が通れないほどの隙間に到着する。
私は慎重に岩の下から引きづり出される。
「ふう、なんとかなりました。」教授は安堵する。
「すごい絵面だったけど、第四の試練もなんとかなったわね。はっきり言って一番苦労したかも。」私は硬化を解きながら言う。
「足は大丈夫?」教授は尋ねる。
「大丈夫って何が?」私は首を傾げる。
教授も首を傾げた。
「よし、最後の試練だ!第五の試練を受けよう!」教授はさらに先へと進む。
「ぱっと試練受けてぱっと帰ろう。」私もそう言って教授についていく。
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