家を破壊されたのでDV男と同棲することになった。
負傷者を治療所まで連れていったあと一息つく。
「今日は色々大変だったね。」主に鈍器になったり壁をぶち抜いたりライトになったりツルハシになったりと大変だった。だが、人助けも気持ち良いものだ。まあ、タンクなんて人助け80%の役職ではあるが。
去り際に下級パーティーのリーダーと今後の作戦会議の打ち合わせのための打ち合わせをしてボロボロのパーティーメンバーに見送られその後レオンと夕食を食べ一人部屋に戻った。
部屋に戻ると荷物を置いて風呂屋に行って薄い布を一枚敷いただけの寝床に横になる。
硬化すれば床が硬くても関係ないのでどこでも眠れる。便利な能力だ。
寝ながらぼーっと思い返す。調子に乗って奥に進んで全滅しかけたあのパーティー、救助が間に合ってよかったな。昔いたパーティーでもああなったことが何回かあった。今では彼らは上級パーティーだが、昔は彼らと同じ未熟なパーティーだった。彼らもいずれ上級パーティーになるのだろうか。剣士が多くてバランスは悪いが、剣士が二人だけでも別の職に変われば人数も揃えているし良いパーティーになれるのではないかそんなことを考えながら眠りについた。
外が明るくなった。もう朝か。目を開けると目の前には青空が広がっていた。
「うーん!綺麗な空。いい空気。」伸びをする。
やはり朝は気持ちいい。腹の上に猫が丸まって寝ている。
ねこちゃんかわいいな。私はほっこりする。
ん?
「え?猫?青空?にゃんで?」寝起きで滑舌が悪い。
なぜだ。昨日私は家で寝たはず。どうして青空の下で?
私はハッとして起き上がる。猫はびっくりして逃げた。
周りには瓦礫が散らばっており周りには人だかりができていた。
「え?」私は周囲を見回し状況を把握してそして、絶句した。
「へえ、上級パーティー同士の抗争で家が破壊されてホームレスになったんですね。」レオンは哀れみの目を向ける。
「そう。見事に更地アンド炎上。家財道具もほとんどパア。涙が出るわ。」
「気の毒ですね。」
「本当最悪よ。寝てた人も数人死んだらしいから死ななかっただけマシだけど。はぁ。」私はため息をつく。
「だからさレオン。一瞬だけ、ちょっとだけここに泊めてくれないかな?お金も燃えちゃって…。」私は恐る恐る尋ねる。
レオンはしばらく考え込む。
「だめ?だめならいいんだけど。」
「いえ、泊めてあげたい気持ちは山々なんですけど、その。」レオンは申し訳なさそうに言う。
「その?」
「部屋が狭いので寝転ぶ場所がないんです。その、同じ布団で寝るわけにもいかないですし。」
「大丈夫。硬化しておくから毛布を巻いて枕にしてくれればいいよ。」
「ダメですよ!」
「だめか…それなら、ちょっとした隙間に立てかけてくれるだけでいいの。」
「箒じゃないんだから!」
「ベッドの下にぶち込んでくれていいよ?」
「先輩をそんなところにぶち込むなんて!」
「じゃあ、玄関の戸に立てかけてくれたらいいよ。ドアも固定できるよ。」
「なんで自分をモノ扱いしちゃうんですかっ!」
「ここの隙間は?」私は尋ねる。
「ゴミ箱を置くところです。」レオンが不安そうに答える。
「じゃあ、このゴミ箱をこうやってずらして、私がここに入って硬化する。ほら、ピッタリ。」私はベッドと壁の隙間に自分を立てかける。
「そうですね。ピッタリですね。まるでイリーナさんが入るために作られたみたいな空間ですね。」レオンはなんともいえない顔で言う。
「じゃあ、おやすみ。」私はそう言って寝る。
「はい、おやすみなさい。」レオンは返事をする。
頭から黒い布を被せられて何も見えなくなったので寝た。
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