手に入れたのはロストマジック、運命を切り開いて突き進め!
夢未 太士
第1話 キコー力は未来を見る
キコー力は未来を見る
生まれたときはそれほど気にもしなかった、両親は行方知れず俺は孤児として育てられた、10年が経ち幼いころの記憶は、ほとんどが風に溶けていた。
俺の暮らす世界はいわゆる終末期と言われる機械化文明の衰退した後の世界、機械化が進んでなんでも科学でできるようになっても、人の暮らしはさほど変わり様がない。
俺はいつの間にか15歳になった、この世界では10歳から仕事を始める、ほとんどの仕事がごみ集めみたいなものだ。
過去の遺物を探しては売りに行く、小使い程度のお金しか得られないが、うまくいけば金持ちになる可能性が無いとも言えない。
この時代TVなんてものはない、VR(バーチャルリアリティー)が進み仮想空間、仮想世界も当たり前。
脳内を記憶チップとして利用することもできるようになり科学力はかなり進んでいて、機械はなくとも、自分の意志だけで離れた他人とのコンタクトもできるようになっている。
一種のテレパシーと同じだが、こうなるためには最初に機械を通さなければならない、その名をBIW(ブレーンイメージライター)別名ビーアイという。
バイザーのような金属の輪に色鮮やかな光る帯をまとっている、その輪をかぶりスイッチを入れるだけ。
それだけでいくつもの特殊技術や膨大な過去のデータの取得ができる、その一つが気功(キコー)という人体活性術とテレパシーというわけだ。
だからBIW(ビーアイ)を施行したそのあとは機械など使わずとも目の前にはホロウ画面が表示され自動カーソルや映像画面が簡単に使えるようになる。
※ホロウ画面=フォロー(Follow)する助ける、付いて回る補助モニター。
ただしこの機械5歳以上にならないと使用できないらしい、俺も5歳になった時この機械を使用して脳内拡張を行った。
普通はそこまでらしいが俺は少し違っていた、違いとは?それはビーアイを使用した時同時に他人の記憶まで手に入れたことだ。
確かにこの機械に含まれているのは歴史や勉強などという情報がほとんどなのだが。
個人的なデータは基本移すことができる量が限られている、もし膨大な他人のデータなどを受け入れた場合、想像してみればわかる。
そう簡単に2重人格や5重人格の人間が出来上がる、それが同時に同じ個体に生まれたらどうなるだろうか。
過去にはそういうことを考えて実験した者もいる、でどうなったかというと。
全員が狂って自殺した、単純な話だ自我が2つも3つもあれば、それぞれが違うことをしようとするのだからまともに暮らせるはずがない。
俺の中には今他人の記憶が入っているのに俺の自我は今一つだけだ、それはちゃんとわかるし感じる。
特にそれが俺の行動に悪い影響を与えているわけでもないし、今のところ俺はまともに生きているといって良い。
俺たちが10年前この星に逃げて来た時、同時にやって来た宇宙船には様々な人種が乗船していた、獣人やエルフそして魔族も乗船していた。
まるでファンタジー、いやこの世界もファンタジーとは言えなくもない、魔法などというものはすでに廃れているが、機械を使用せずテレパシーやホロウ画面を使用できるのだからそれを魔法と言っても、あながち間違いではないだろう。
この宇宙船のおかげで外宇宙で何が起こっているのか、かなりわかってきたという。
少し考えてみればわかるが、俺やその宇宙人たちはこの星へ逃げてきたのだ。
廃棄惑星に外宇宙から宇宙船や脱出艇に乗って逃げて来たと言う事。
この廃棄惑星も辺境の星から再開拓のために人が訪れて約20年経ち現在は発掘作業もかなり安定している。
住居はほとんどがシェルタータイプ、そして地下に部屋を増やす住居方式、竪穴式に近いが地下に掘り進んだ部屋には近代的な耐震壁や強化パーツで作られるため、言っておくが土壁のみで作られているわけではない。
それらの作成にもBIWというシステムで得た気功パワーが使われている。
ちなみに昔使用していた電気や動力も、今は代替えエネルギーのキコー力で動かしている、そしてこの星では昔そのエネルギー源でもあった石が採掘できた。
気功石と呼ばれてるが、ちょっと見はただの黒い石、昔なら石炭と間違えるだろう。
BIWで得た記憶の中にもそう記してあった。
だからこの星は気功石や資源取りのため昔はたくさんの開拓民が移住してきたわけ、だがそれは今から1万年以上も前の話。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます