8日目の7日目
頑張ったら君も一緒に退院できる可能性にかけて、授乳方法をたくさん試してみました。
夜中も起きて、何度も通い続けました。
片手片足、地面を蹴って手すりをつかむいつもの車椅子の漕ぎ方では、意味のわからん場所の筋肉痛になり、
傷口が裂けそうになって、
股関節が悲鳴を上げました。
それでも、だめでした。
私のわがままは、やっぱりわがまま過ぎました。
私が努力しても、どうにもならないと言われてしまいました。
でも私のは自己満足で、努力しているのは君です。
これだけ頑張ってくれている君をもう一度管に繋がなければいけないことが、悔しくてなりません。
私はミルクではなく白湯で育ちました。
白湯でも、育ちました。
白湯では育たない君を思うと、
白湯でも育つ他の子どもを思うと、
これだけかわいいのに、
これだけ頑張っているのに、
白湯でなく粉ミルクや母乳を使ったとしても普通には育たない君のことが、
かわいくて、憎くて、悔しくて、愛おしくてたまりません。
普段なら待ちに待った退院日を恨みました。
君に会えるから、一緒に入院していたいと思いました。
「君がいないと生きていけない」
そう話しておとーにゃんを悲しませる程度には、君を愛してしまいました。
はじめは君と、おとーにゃんの取り合いをしていたのに、おかしいな。
おとーにゃんと喧嘩して、君がいるならおとーにゃんと別れてもいいやと思いました。
とても罰当たりですが、「この人がいるなら」でおとーにゃんと別れようと思ったのは初めてでした。
まあ私が悪いので、普通に謝りました。
別れ話にはなっていないから安心してください。
おとーにゃんと別れたら、君が悲しむだろうし。
そんな理由で別れ話をせずに済んだのも初めてでした。
君は私に、たくさんのハジメテをくれます。
私が君に、何もあげられないことが、悲しくてなりません。
君は看護師さんの腕の中でよく泣くけれど、君は笑顔がとてもキュートです。
泣くより笑っていてほしいと、素直に思いました。
泣いている私に笑いかけてくれた君に、「いっぱい泣け」とは言いづらくなりました。
やっぱり君には、笑っていてほしいです。
私がいなくても。
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