第8話「タスケテ」

 その日から数日経ったころ紗倉さくら結奈ゆいなとまた話し合った。彼女にとって「逃げる」と言う選択肢はしっかりと助けになったようだ。彼女はあの頃と違う弱くない声で「ありがとうございます」と頭を下げた。

僕は「また何かあったら連絡をください。一度相談してもらったので基本はなんでも返します。」と言った。

彼女はもう一度頭を下げると軽い足取りで帰って行った。


 その後彼女とはたまに連絡をくれる。見る限りある程度元気にやっている感じがして嬉しい。スマホを見ているとシュウが「だれ?彼女?」と覗いてきた。「ちがうよってか人のスマホ覗くな。変態」と返すと「なーんだてか変態は酷くね?」とちょっと傷ついたーみたいな顔されたので「冗談だよ」と微笑み返した。

 会話をしながら下駄箱を開けると一枚の手紙が入っていた。それを見てシュウが「え?ラブレター?お前に?ちょっと見せろよ」と言ってきた。別に気にしないので「良いよ」と言った。2人で中を見る。そこには「タスケテ」とだけ書かれていた。2人とも驚き口に出てしまう。「「なんだこれ」」シュウが「イタズラだろ・・・」と少し引きずった様に言った。「まぁそうだよな・・・」これが「   」相談室じゃなくただのイタズラであってくれと願った。

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