第3章前編 色欲と不死鳥

第29話 不死鳥は死を運ぶ

第29話


アリスside


王都に戻る為、色々と頭と胃を痛めながらの馬車旅の途中………


そんな中、いきなり────


「ヒャッホー!!僕、参上♪」


と、背中に綺麗な羽を生やした少女が攻撃してきた。


間違いない、フェネクス不真面目な焼き鳥だ………


本当に来ましたね、あの娘………


「何だ、お前!?」

「ん?君、誰………ああ、勇者か。君は邪魔だから、さっさと何処か行ってよ。」

「いや、魔族を見逃す訳ないだろうが!!」


それは正論ですね、珍しく見直しましたよ勇者様。


好感度−1000から好感度−999位になりました。


「えぇ、面倒だなぁ。どうせ僕に勝てない癖に、無駄な行動は止した方が良いよ?」

「はぁ!?巫山戯んな!!」


あら、斬りかかりましたね………


全く、直ぐに斬りかかる癖は止めろと前に言いましたのに………


唯でさえ、それでアーク様に斬りかかるという愚行をしてるというのに………


それに────


「う〜ん、ザコザコだね♪もう一度、出直したら?」


────あの娘に普通の攻撃は意味を成さない。


「何で!?ちゃんと斬ったぞ、俺!?」

「ふふ、どうしてでしょう、か!!」

「なっ────」


あらあら、吹っ飛ばされましたね。


あの娘、普通の攻撃は効かない癖に、自分の攻撃だけは敵対者に届くから、厄介なんですよね………


あの娘の性格の悪さが滲み出てるみたいですよ、全く………


「くそっ、何なんだアイツ!?」

「はぁ、仕方ありませんか。ミリスさん!」

「は、はい!何ですか、アリス様?」

「あの魔族にたっぷり回復魔法をかけてやりなさい。」

「へ?」


まぁ、普通はそんな反応をしますよね………


でも、四の五の言っている暇は無いのです。


「ほら、早く。じゃないと(私以外)全滅しますよ?」

「は、はい!上級回復魔法ギガヒール!!」

「ん?僕に普通の魔法は効かな!?」


────よし、効いた。


「ピィ、ピュギュィ!?い、痛い!!これ、上級じゃん………マジにならないでよ!!!」


頭から血を流しながら、フェネクスが文句を着けて来る。


貴方が巫山戯るからですね、自業自得です。


これ以上のクレームは受け付けませんよ?


「えぇ、私の魔法が効いた………?私、使ったの回復魔法だよね………?」

「なっ、どういう事です、巫女様!?」


説明、面倒ですね………


「あの魔族はフェネクス、死を司る不死身の焼き鳥です。」

「「や、焼き鳥?」」

「炎を操るから焼き鳥です。」

「「えぇ………」」


何で、そこで引いた様な反応をするんですか、失礼な人達ですね………


「オッホン、それでフェネクスは死を齎す攻撃を受け付けない体質の身体なのですが、逆に生を齎す術などに耐性が皆無で、毒や攻撃を受けた判定になるんですよ。」

「だから、私の回復魔法が効いたし、ダメージ喰らってるんですね………」

「面倒な敵だなぁ、俺も一応は回復魔法使えるけど、ミリスちゃんみたいに効くとは思わないけど………」


全くです。


本当に不真面目な点を除けば、味方なのが安心できる娘ですよ………


「────ああ、痛いなぁ。本当に痛い。久し振りの痛みだ、久し振りの死の香りだよ。本能が刺激されるなぁ………」

「自分の頭から流れ出てる血を舐めて、変な顔してる………怖い。」

「何で魔族はあんなのバッカリなんだ?」

「────そうですね。」


ノーコメントで、ええ………


「そして、思い出したよ。君があの聖女か、あのか………」

「私!?何で初対面の魔族にそんな事を言われなきゃいけないのよ!!」


正論ですね………


まぁ、ミリスさんが愚かなのは否定しませんけども………


「うんうん、そうか、そうかそうか、つまり君はそういう奴なのか!!」


貴方は何処の夏の日の思い出な少年なのですか?


もしくは、文明人ですね。


────それにしても、何か嫌な予感がしますね。


「よし、決めた!殺し合い対話しよう!」


そうですか、勝手にしてください。


「じゃあ、邪魔な男は消えてもらおう!百合に挟まる男は投げの鬼ガイアに殺されるからね!」


不死鳥の一突きフェニックス・インパクト


「なっ、重っ────」

「あっ────ゆ、勇者様!?」


そう叫んだ瞬間、フェネクスの拳が勇者様へ放たれる。


あらあら、あの不意打ちを上手く防いだのに、見事に吹き飛びましたね勇者様。


しかし、相変わらず、凄い威力のパンチですね………


ミリスさんはその………嫌いだけど心配するのは忘れない所、心から尊敬しますわ………


「よし、邪魔者排除!僕達3人で殺し語り合おうよ!!」

「えっ、私も!?」


何で、私も入ってるんですか、この焼き鳥!?


「さぁ、此処から先は、僕の独壇場セカイだ!!!」


続く

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