第25話 グラシャラボラス

第25話


「何で私が生きてるの!?」


くくっ、あの時もそんな感じだったな………


「全く、前助けた時もそんな間抜けな反応じゃなかったか?」


ちょっとだけ、懐かしいな………


時間が許されるなら、この懐かしさに浸っていたい所なのだが………


「ありがとう、木こりさん!!」

「いや、農家だからな!?」


何回天丼させれば良いんだ、コイツは!?


『お主が諦めれば良いのでは?』


煩いぞ、魔王!!


人には譲れない一線とかあるだろ、こう?


「って、そんな事はどうでも良い!!此処から離れるぞ、プリズム!!」

「えっ、きゃっ!?」

「────あっ、アーク様!?」


一旦此処から離れる為に、プリズムを片手で抱え込む。


『もうちょっと良い抱き方あったんじゃないのか、アーク?』

「今のコイツじゃ仕方ないだろ!!」


片手しかないコイツじゃ、背負うのは難しそうだし、お嬢様抱っこは俺が個人的に嫌だからな!!


『筋金入りじゃな………』

「当然だろ。」

「あの………」


ん、何か言いたそうにしてるが、こんな時に何なんだ?


「………木こりさんは誰と会話してるんですか?」

「あっ………」

『あっ………』


そうか、魔王の声は俺にしか聞こえてないんだったな………


「すまん、今は話してる余裕は無い。後で話すから、それで納得しててくれ。」

「は、はい………」


今はこれで良いか………


でも、いざ話すとなると面倒そうだな。


まぁ、その時はその時だな!!


『ヤケクソじゃの………』


ほっとけ!!


『────そろそろ来るぞ、アーク。』

「────みたいだな。」


よ〜く見えてるよ、凄い鬼気迫る顔で此方に向かってる天使族の奴がな。


「クソっ、クソっ、クソが!!羨ましい、超羨ましいちゃん!!何で、何でお前ちゃんみたいな奴がアーク様に抱きかかえて貰えてるちゃん!?」

「えぇ、気にしてるの其処かよ………」


てっきり、逃げた事を怒ってるのかと………


「へへっ、ザマァです♪」

「こら、そこ!!相手を煽らない!!」

『意外と図太いのぉ、この女も………』


全くだ………


ほら、見てみろよ、あの天使族………


凄い顔してるぞ、アイツ………


「────もう許さないちゃん。アーク様を連れて行く前ちゃんに、お前を殺していくちゃん!!」


バーチカル


「何をしてるかやっぱり理解わからんが、無駄だ!!」


憤怒の炎を前に翳し、奴の攻撃を燃やし尽くす。


やっぱり、防げてるみたいだ………


「なっ、私ちゃんの攻撃を無効化させてる!?流石、アーク様じゃん………」

「そ、そうか?」

「うん!私達の中でも防げる奴は少ないちゃん!やっぱり、凄いちゃんよアーク様♪」

「へ、へぇ、な、何か、ありがとうな。」

『絆されてどうするんじゃ、馬鹿者。』


なっ、し、しまった!!


「ほ、褒められても嬉しくないぞ!!」

「もう遅いと思うよ、木こりさん………」


くっ、何も言い返せねぇ………


こういう時は………


「ちっ、防げるとはいえ、何をしてるんだアイツは?」

『誤魔化したな………』

「流石にダサいよ、木こりさん………」


あ〜あ〜、聞こえない!!


全く、聞こえてません!!


「それはね、私ちゃんはグラシャラボラスだからちゃんよ。」


えっ、何………?


「私ちゃんは破壊を司る悪魔ちゃん。」


物騒な悪魔だな、いや天使族だな………


「で、この世界ちゃんには沢山のが有るちゃん。」


あれか?


運命の赤い糸とか、そういう奴か?


「大抵の奴等ちゃんは見えないちゃんだけど、私ちゃんはそれが見えるちゃんだし、干渉できるちゃん。だから、私はその線ちゃんを操り、破壊する事で攻撃ちゃんをしてる訳ちゃん。」

「ぜ、全部、教えてくれるんだな………」

「アーク様に私ちゃんの能力を知って貰う事ちゃんは、光栄ちゃんだからね♪」


マジで反応に困るな、コレ………


────まぁ、理屈は理解わかった。


要するに、何か凄い能力という事だ。


理解わかってないじゃろ、お主。』

「ははっ、そんな訳ないだろ。」

『嘘つけ………』


全く、酷い言い様だな………


そういう所は流石は魔王だな。


『どっちがじゃ………』


少なくとも、俺は魔王の方だと思いますね、はい。


「困ったちゃんね………単純な攻撃じゃ、アーク様に防がれるちゃん。」

「────だったら、どうする?」

「────こうするちゃん!!」


レイン


続く

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