第24話 破滅/破壊的な愛

第24話


プリズムside


────危ない。


直感的に私はそう思った。


そして、直ぐに木こりさんを庇う様にしゃがんだ瞬間────


「きゃあ!!」


────切れた。


そう言うしか形容できない程に、目の前で起こっている事態は異常だった。


先程まで、私の頭があった場所から水平、横にある全ての物が綺麗に真っ二つになっている。


刃物で切ったにしても、こうは綺麗に切れない。


というか、刃物でも無理な筈なのだ………


「な、何なんですか、貴方は!?」

「私ちゃん?私ちゃんはアーク様を迎えに来たちゃんよ?」


木こりさんを狙ってる!?


こんな見た目も頭も悪そうな女が!!??


此処に居たら、木こりさんが危ない!!


「させないちゃんよ?」


バーチカル


「えっ………」


あれ、何で木こりさんを掴めないの?


あれ、何で手の感覚が無いの?


あれ────


「い、嫌、手、手が!手が────」

「汚い手ちゃんでアーク様に触るなよ、蛆虫ちゃん。」


手、手が、手、切られ、えっ?


な、何で、私の手が切られて────


「痛くないのがせめてもの情けちゃん。」


そ、そういう問題じゃない!!


片手を失うなんて、これから木こりさんと暮らす時に迷惑かけちゃうじゃないの!!


「変な事ちゃんを考えてそうな面ちゃんね。私ちゃん、大嫌いちゃんなの。アーク様に対して、発情した雌猫みたいに振る舞う奴等ちゃんがね。」


そんなの人の勝手じゃない!!


「うわぁ、気色が悪いちゃんね。発情した雌猫ちゃん特有の不快臭がビンビン臭ってくるちゃん。」

「わ、私が臭いみたいに言わないでよ!!」

「いやぁ、臭いちゃんよ。だから、もう我慢ならないちゃん。此処で、お前ちゃんを殺して、アーク様を連れてくちゃん。」


扇形サーキュラー


「あっ────」


もう駄目だ、死ぬ────


ああ、あの時直ぐに木こりさんの唇を奪っておけば良かったなぁ………


例え、叶わない恋だとしても、最後の最後まで木こりさんにアプローチし続けたかった。


でも、それ以上に………


────助けて、木こりさん。


「全く、昔を思い出すなプリズム。」


────あれ?


何で、木こりさんの声が聞こえるんだろう?


何で、木こりさんが私の名前を呼んでくれているんだろう?


何で、私が────


「何で私が生きてるの!?」


あれ、切られてない!?


本当なら、私の手みたいに綺麗に切れてる筈だったのに………


────まさか!!


「全く、前助けた時もそんな間抜けな反応じゃなかったか?」


前を向くと、あの怪物痴女から私を守る様に木こりさんが立っていた。


何か手と脚が燃えているが、それは些末な問題だ。


何より、何より大事なのは………


「ありがとう、木こりさん!!」

「いや、農家だからな!?」


────木こりさんが私を助けてくれたという事だけなのだ。


☆☆☆☆☆


アークside


『起きろ、馬鹿者!!』


煩いなぁ、魔王………


今めっちゃ眠いんだけど………


『敵じゃ、天使族じゃ!!』


何!?


「────!?」


飛び上がった瞬間、確かに目の前に敵が居た。


ソイツがプリズムに攻撃を仕掛けている事も理解わかった。


そして、そのプリズムの手が切り落とされている事も。


────巫山戯るなよ。


『むっ、お主憤怒の力を!?』


相手の攻撃するかの様に手をかざした瞬間、俺の手から憤怒の炎が溢れ出した。


今まで上手く使えてなかったが、これなら行ける!!


「えっ、えっ、えっ………」


よし、防げた。


どんな攻撃かはよく理解わからんが、『何か防げたので良しっ!!』て奴だ。


「えっ、えっ、えっ………」


しかし、何だあの動揺っぷり………


気持ち悪い位に震えてるぞ。


ていうか、何だあの痴女姿!?


────気持ち悪いなぁ、俺はミリス以外の肌を見るの嫌なんだよ。


『お主、清々しい位じゃの。』


そうか、当たり前だろ?


それにしても………


『何じゃ、アーク。』


────いや、少し昔を思い出してな。


確か、昔にもこんな事があったなぁ………


ははっ、またこんな目に合うとは………


「全く、昔を思い出すなプリズム。」


続く

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