第128話 カップルチケットの使い道

 美華姉さんの彼氏である和也さん、ウォータースライダーに行こうって誘ってきたの。


 私の時と違い、打ち解けて笑顔で私たちに近づいてくる。よく見れば、いい男なんだね。


「もう。折角、美鳥ちゃんとお話ししてたのにぃ」


 プンスカしてる顔で返事をしてるけど、頬は溶けてにやけてるよ。美華姉。


「それで、どうしようか? 私の方は和也が行きたがってしょうがないみたいだから、すぐにでも行こうかと思うのね」 

「一孝さんは、いいよっていってくれると思うの。でも友達と一緒だから、私たちだけでほっぽらかすわけにいかないよ」


 そう、今日は私の小学校以来の親友と誘いあって、このプールに来ているの。


「もちろん、俺は良いんだけど。そうだね、彼女らにも聞いてみないと」


 姉と喋りに夢中になって、ほっぽらかしていた2人、


「やっと、お声がかかったわ」


 ミッチが困惑気味に話をしてきた。


「風見さんと、良い男がもう1人! これはなに萌えになるのかしら」


 カンナが妄想モードになってました。


「あぁあー。カンナってこんなんなったらしばらく戻らないからなあ。元々、風見さん、 美鳥のためって、やったんだから私たちはいいよ。2人で行ってきなよ。まあ、適当に時間潰すよ」


 ミッチはが肩をすくめて言う。


「ミッチ」

そんな寂しいこと言わないでよ。


 でもそんな時に、一孝さんが提案してくれた。


「さっき、運営の人が言っていたんだよ。無料チケットは二つあるって」

「えっどう言うことですか? 一孝さん」


 私は、一孝を仰ぎ見て聞いてしまう。2枚って。


「うん、折角のウォータースライダーだから、一回だけじゃなくもう一回、2人で楽しんでくださいって配慮なんだけどね」


   ウン


「お友達なりの別のカップルと使っても良いだって」

「と言うことは……、ミッチ! カンナ!」


 私と一孝さんは、お互い見やり、うなづいて、


「一緒に楽しもうよ。なあ美鳥、良いだろう?」

「うん、うん。一孝さん、賛成。賛成だよ」


 さすが、私の愛しい人。優しいな。お友達のミッチやカンナのことも考えてくれる。


   ウフフ


 私は一孝さんの腕に抱きつく。だって嬉しいだもん。

 そして仰ぎ見て頬を赤く染めて、ソッポむいて恥ずかしがっている一孝さんをみて、私の微笑み返してあげた。

 あっ、耳まで赤くなってる。


   ウフフ


 そこで、


「どうやら、決まった見たいね」


 美華姉さんも微笑んで、結論に満足してます。


「私たちも良いの? お邪魔してよろしいのかしら」


 おそるおそるえにミッチが、私に聞いてくるの。


「もちろん! 大歓迎!一緒に楽しもうよ。ミッチ、カンナ」


 一孝さんは、私の後ろに立って肩を優しく抱いてくれている。なんとなく、私と一緒に微笑んでいるのが雰囲気でわかる。


「それじゃあ、行こうか」


 和也さんが音頭を取ってくれてウォータースライダーへ行くことになった。もちろんみんなで。



 ここのアクアリゾートにあるウォータースライダーの入り口へは二つほど行き方があるんだよ。

 階段なり、スロープを通って登っていくのと、もうひとつあって。カルカフォールを登っていく方法。

 南米のとある国にある滝。石灰岩の岩盤が水の流れによって侵食されて滝となった場所をモデルにしてるんだって。

 滝と言っても傾斜は緩く、水の流れも強くない。

 歩いてフィールドアスレチック感覚で滝登りかできるそうで、カップルで登ると祝福されて永遠に結ばれるんだって。ロマンチックだね。


 一孝さん。一緒に登りましょうね。そして祝福されるの。いいでしょう。

















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