第127話 美華 ぶり娘
負けたわ。
和也のヴァカア。
あんなに豪語して、何、一孝に負けてんの。
このスカタン!
「勝って、ウォータースライダーへ誘ってくれるっていったのに」
甘やかしたら、ダメ。ここは厳しくいかないと、すぐに調子に乗るんだから。
かといって、やりすぎても凹んじゃうし難しい奴め。でも!ラッキーだねチケットもらえたよ。
「ありがとう。あなたは私の願いを聞いてくれた。私もそれ相応のものをお返ししないといけないかしら」
耳元で優しく囁いてあげるね。ウォータースライダーの無料チケットが手に入ったんだから、良しとします。
だから、甘ァーい、ご褒美をあげるわ。
「か、ず、やぁ」
名前を呼んであげて彼の唇を塞ぐ、そして口の中をねっとりと嬲ってあげた。こいつの恍惚な表情で私も納得する。
「ほぅ」
私も興奮していたのかな。吐息が熱いわぁ。
そして、声には出さないけど、微かに口を開け、
かっこよかったよ
と、告げてあげたよ。彼はブルッてた。ホホホ
とごろて、あの2人はどうだね。
傍目から見ても、美鳥と一孝はうまくいっているみたい。昔から美鳥は彼に任せってぱなしだったから、ある意味当然な帰結。
2人で仲良く戯れているし、理解ある友達とも戯れていってる。
あぁー、いいねぇ。
美鳥、2人で幸せにおなり。私は祈っておいてあげる。
でも、なんだって!
こいつが美鳥の腕を強引に掴んだだって、可愛い妹に何してるの。扱いが雑なんだよ。いつも口酸っぱく、優しくしろっていってるのに、このアンボンタン。
「もう、私の大事な妹なんだよ。優しくしてくれないと嫌だよ」
この後、折檻だからね。覚悟しておきなさい。
しっかし一孝も抜けているとこあるし、私がわからなかっただって、最近あれだけいじってやったのに。足らなかったかな。手加減しすぎたか。
和也、一孝。2人ともスカポンたんだね!
ハア、ハァ、ハァ
「ところでお姉さん。今日どうして、ここへ」
偉い、さすが美鳥だ。和也と私の間柄を察してくれて、話を合わせてくれている。
「お休みが取れてね。ママの所へ帰ろうかと思ったの」
そう、語尾をふんわりとさせて、ちょっと舌足らずにして、和也に可愛く見せているんだなあ、これが。
適当に煽てて、甘えさせておけば、こいつも機嫌良くしてくれる。
まぁ、オイタしたら、とことん怒ってやるけどね。びしびしやります。
飴と鞭ってとこかね。
「いきなりになったかな。ママには連絡しておいたんだけど、美鳥へは届いてなかったみたい。ごめんなさぁい」
可愛く可愛く見える様に話していくんだね。
「ううん、スマホはロッカーに入っているから見れなかったんだもんね。しょうがないよ」
さすが、美鳥は、かわいい子の年季が違う。態度が自然に可愛く見せているんだ。見習おう。
今ならわかる。美鳥、いい子に育ってくれてありがとう。
「ありがとう。そうそう美鳥。その水着は可愛いね。色もあなたにピッタリ」
「えへへ、ありがと。お姉さんも綺麗だよ。色使いも良いし、羨ましいな」
姉妹とはいえ、褒めてくれるのは嬉しい。こそばゆいな。ふと思った。こんな姉妹らしい話をしたなんて初めてかも、恥ずかしながら姉らしいことしてこなかったね。ごめんなさい。貴女の成長著しいんだ、私もそうならないといけないね。
「もう、美鳥ったらぁ」
「うふふっ」
「ところで貴女も、色々と大きくなっているのね。ちょっと羨ましいかな」
私が視線を下げて胸の膨らみを見ると、美鳥は素早く腕で胸を隠して、
「いったい、何処のことをいってるのかなあ。ちょっとだけ…エッチ」
私は被りを振る。
「違うの、貴女が大きくなっ綺麗になってるのが嬉しくて、嬉しくてたまらたいのよ」
「美華姉さん」
楽しい姉妹の会話をしていたんだけど、
「おい、美華。早速、ウォータースライダー行ってみないか」
無粋な言葉が飛んでくる。全く、気配を読めない失礼な奴め。後でみていろ。
このヴァカア
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