第110話 二者二様
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ベッドに何枚か、服を置いて悩んでいる。
今日は美鳥とプールに行く日なんだ。
2人だけで行くっていうことなら、遠慮なしに、いつものラフな格好でいけば良いのだけれど……
美鳥の中の良い、お友達2人とも一緒に行くということらしい。
今日行く予定のアクアリゾート・グランラグーンのグループチケットが手に入ったということで、俺も人数合わせで行くことになったんだ。
美鳥は、いつもの格好でも良いですよと言ってくれるけど、美鳥の親友の2人とも会うんだ。格好だけでも決めておかないと美鳥の顔を潰してしまいそう。
そうだ、美鳥はどんな服を着てくるんだろう。聞くのも気恥ずかしいし、どうしよう。
「コトリ、美鳥はどんな服選んでるか判るかな」
隣で俺のことを見ているコトリに聞いてみたけど、
「うーん、なんかモヤモヤしてぇ、わかんないや」
コトリでもだめかぁ。感情の起伏で判るか持って、淡い、期待でした。
仕方ない、スマホを持ち出し、検索をかける。
〇 ⚪︎ ⚪︎ ⚪︎ ⚪︎
◇. ◇ ◇ ◇
今日は一孝さんとプールに行きます。
もちろん、ミッチとカンナの2人も一緒に。ミッチがグループチケットをゲットしたの。それでみんなで行くことになりました。
こそ、一孝さんと行ってデートにしてあげる。
待ち合わせは、ウチ、琴守家に相成りました。
ミッチは、
「わたしんちだと、丁度駅との間にあるんだわ」
カンナも、
「私は行き慣れてるから、美鳥の家で」
全くなんなの?
本当は、行きたくなかった。アクシデントとはいえ、彼に見せたくはなかったの。ミッチとカンナに請われて連絡とってみれば、二つ返事で行くことになりました。
みんな私のこと、わかってくれない。涙が出そう。
でもね、行くからには、見せてあげます女の本気。
もう、着て行くものは、昨夜から考えに考えて悩み抜いて決めてある。一周回って、いつもと変わらない。
「ママ、これで良いと思う?」
「一孝くんとプールに行くのでしょう? あなたが選んだのなら、それで良いのよ。口なんて挟めないわ」
あ〜あ、ママもあてにはできませんでした。
そうこうしているとインターホンが来客を告げる。
きたかな。
急いで自室から出て階段をおり、玄関を開ける。
期待に胸が高鳴った。
「こんにちは、美鳥。きたよ」
ミッチだった。肩がストンと落ちる。
「私もきたのだけれど」
カンナもミッチの後ろにいました。
「………上がってくれる。待ってて」
「何よ、その気のない話し方。彼氏じゃないからって…ひどくない!」
ミッチがツノ生やして抗議してくる。だって、だってだって。
「おーい」
気落ちした私の耳が、微かに聞こえる彼の声を聞き取った。
「えっ一孝さん?」
サンダルも履かずに玄関を出る。
いた。
手を挙げて、にっこりと私を見てくれる。
「一孝さん!」
彼がきた。来てくれた。
そして出立を見て、目を見張った。
「ぺ、ペアルック! ほぅ、色違いだけど同じね」
カンナが驚きの声をあげる。
私は、ローズピンクの半袖ブラウスにオフホワイトのハーフパンツ。
一孝さんがやはりオフホワイトのハーフパンツにターコイズの開襟シャツ。足下はスポーツサンダルを履いていた。同じに見える。嬉しいで胸いっぱいになりました。
ペアルックなんて私たちって、もう繋がっているんだね。
ダメ、頬が綻んで緩んでくる、にやけてきちゃう。
「ペアなんて、見せつけてくれるわね。美鳥」
ミッチが、呆れたとばかり声を上げる。
「ふふ、」
きっと、ドヤ顔になっていると思うの。そうなるのを隠すのに、急いで玄関を駆け上がって行く。
「バックを撮りに行くね。すぐ行こう」
みんなに檄を飛ばす。
さあ、プールだ。楽しみますか。HAVE FUNだよ。
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