第61話 トランジション
ダンスも終わり、3人とも、手を振りながらレストランに退いていく。
そこでは、守道さんが奏也さんに謝っていた。
守道さんがハーバープレイスのイベントに出展しているのだけれど、トラブルがあったようだ。
「琴守、すまん。急いで行かないといけなくなった」
「いいよ、奥さんのところに急いで、行ってやって」
「鼎が大変なんでしょう。助けてあげて」
シアンの格好をしている美桜さんも懇願している。
するとマゼンタが、シアンの横から、
「私たちも手伝いに行ってはダメ?」
『えっ』
皆がマゼンタの言葉に驚く。
「どうせ、せっかくのダイナーガールズだよ。やってみたいよ。なあ、ライム?」
マゼンタは、話を続けて、ライムに話を振った。
ライムの反応が遅れる。
「ライムっ?」
「…はっ。はい、やってみたいです。
慌てて返事をするライムに俺は、
「ライム、どうした? 疲れたか?」
と、声をかけた。
「いえ、大丈夫! ちょっとボケッとしちゃって。ごめんなさい」
みんなに頭を下げて、ライムは謝っていく。俺も、
「皿洗いでも良いですから、手伝わせて下さい」
ついでとうわけではないがライムに合わせて俺は、お辞儀をする。
シアンさんも頬に手を当てて、
「私も、久しぶりに鼎に会いたいし、お手伝いできればと思いますよ。あなた!」
と奏也さんにおねだりしてくれた。
「守道、みんながこう言ってくれるんだ。手伝うよ。行こう!」
守道さんは、揉み手で喜んで、、
「ありがとう! 助かるよ」
「しかしだなぁ」
奏也さんが腕を組んで考え出した。
「車でみんなで運ぶとして、今の時間は渋滞で港まで1時間以上かかるよ」
「そうか」「そうねぇ」「そうなの」
みんな、首を垂れてしまう。
俺は、ここにきた時から気になっていたことをライムに聞いてみる。
「なあ、このレストランの入ったビルにくっついている橋は、なんか鉄道か?」
「…これは、ニュートラムですよ、無人で動いているんですよ」
俺は、軽く手を上げて、皆に聞いた。
「もしかして、?」
ライムが続ける
「港のハーバープレイスに繋がっているの?」
奏也さん、守道さんが気づく。
「このニュートラムなら、港まで30分かからないから、間に合うな」
「人がいすぎて撮影できないから、機材もないよ」
ということで、鉄道で移動するとになった。
俺はと言うと、美華さんに頼まれた。
「一孝、このバックは持ってきてくれよな」
「何入ってるんですか?、大きいけど、それほど重くは、ないですね」
言われて、掲げ上げてみた。ひと抱えはいるのに、片手で持てるぐらいの重さしかなかった。
「こんなこともあろーかと、あっここ味噌な! 持ってきたんだよ。後の楽しみだねぇ」
にヒヒッと意味ありげに頼まれたんだよ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます