第60話 街中ロケーション
「あははは! 見てよ、このスタンプ」
美華姉が自分のスマホの画面を俺たちに見せてきた。SNSの会話画面で
拳を握りしめて血涙を流すスタンプがの貼り付けされていた。
「送った画像が、よっぽど良かったのね」
笑いを噛み殺しながら、
「悔しさが露にじみでてるわぁ、あはは」
美華姉は、笑っているのだけれど、言葉尻が下がっている。
「一言 ’会いたい'だけでもよいのに、無理しやがって」
下瞼のマスカラが滲んできている。それに気づいた美華姉は、
「ごめん、ちょっとメイク治してくる。美鳥もついてきな」
「えぇ」
美鳥もいきなり、言葉を振られて驚いているが美華姉に手を取られて、一緒に行ってしまう。
「美鳥、こういう手直しの時は、メイクも少し濃いめにするんだ」
美華姉の蘊蓄を聞かされながら。
◇
屋外での撮影が始まる。俺は1メートルぐらいの銀色のお盆を持っている。レフ板というらしい。軽く柔らかい材質でできているから、疲れることはない。
レフ板で反射して太陽の光をライムたちに向けていく。顔とかに影がなくなっている。ディフューザーと同じだね。
屋外にある、カフェテラステーブルとチェアを使ってポーズをとって撮影していく。
「一孝くん、レフ板を上に向けて、影出てるよ」
「はい」
指示通りやっているのだけれど、うまくいったり、いかなかったり。迷惑かけてないよな。
「一孝さん、ドンマイ!」
ライムにまで慰められてしまった。
そんな最中、屋外で撮影をしているものだから、ちらほらと見物する人たちが出てきた。
歩道に遠巻きに、止まってライムたちをみている。そんな人たちが1人2人と増えている。
ビデオカメラの撮影に変えていき、
「ダイナーレストラン、シェインズ ダイナーガールズで〜す」
とエンドポーズをすると拍手まて上がってしまった。一重、二重と人垣ができてしまった。
シアン、マゼンタ、ライムは終わりの挨拶として、手を振り、お辞儀をしてレストランへはいっていくのだけれど、
「もう、終わりか!、もう少し見せてくれよ! アンコール!アンコール!」
劇場やライブ会場でもないのにアンコールの声が上がる。3人は、顔を見合わせ、そしてがビデオカメラを持つ奏也さんの顔をみて、
「どうしますか? なんか騒ぎになっちゃう」
シアンこと美桜さんが心配して話をし出した。
「仕方ないなあ。撮影抜きで、後一回頼めるかな。しっかり、これで終わりですと説明するんだよ」
「「「はいっ」」」
3人ともレストランの外へ出て行った。俺もスピーカー代わりのタブレットを持ってついていく。
「みんなー!、今日はありがとうー!。これでラストです。よろしくー」
マゼンタの口上で音楽スタート。ダンスを始めていった。
すると、俺の背中側でスマホの着信音がする。撮影をやめて外で見物している奏也さんと守道さんが立っている方からだ。3人のダンスを見ていた俺が振り返り2人をみると。守道さんがスマホで話をしだした。
「なんだって、倒れた。2人だって」
慌て出した声が聞こえてきた。
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