第14話 春の洗礼

山里にも春が来た、一斉に桜が咲き鳥の声も賑やかになる、鶯も鳴いているがへたくそだ。

どうやら、夏ごろになると上手く鳴くようになるらしい、地元の人に教えられ「へーそうなんだ」と感心した。


春は多くのカメムシが侵入してくる、地元の人はワクサと呼んでいる。

触ると、とんでもないにおいをまき散らす、これには閉口した。

はじめは捕まえ方が解らず、随分臭い思いをした、しかし徐々に慣れてきてにおいを出す前にテープで捕まえ、ゴミ箱へ捨てるテクニックをマスターした。

それでも不意打ちで飛び出してくるとどうにもならない事もあるので油断禁物だ。


ある日お風呂からあがってパンツをはいた、その瞬間違和感を覚えた、何かいる。

カメムシだ、そう気付いたが手遅れだった、強烈な匂いと痛みが下半身を襲った。

私は脱衣所で倒れこみ悶絶した。「痛い、臭い」どうやら匂いには刺激性があり患部には痛みを伴うようだ


30分程悶えてなんとか立ち直った、これが田舎暮らしの醍醐味と思い怒りを納めた。

春たけなわとなると虫が大量発生する。

ある日家の周りは毛虫だらけになった、赤や黒などの派手な衣装をまとい7センチほどの大きさになる。

動き方がまた気持ち悪い、大量にいるので駆除する気にもなれない。

出来るだけ触らないように、見ないようにとしていたが、ある日ぞろぞろと家に向かって進撃してきた。

「何だこれは、一体俺が何をしたと言うんだ、帰ってくれ」そう思ったが伝わるはずもなかった。

どうやら、さなぎになるのに高い所へ行きたかったらしく私の家の壁に上ってきている。

びっくりするほどの毛虫がくっついた家に入るのは結構勇気がいる。

とりあえず、見ないふりをすることにした。


また別の日はお風呂場にムカデが出てきた、これは危険だ、見ぬふりは出来ない。

なんとか排水溝にシャワーでながしこんで、その場をしのいだ、追い打ちをかけるように今度は家の軒に蜂が巣を作っている。

見ると結構危険なやつだ。

さっそくホームセンターに行き害虫コーナーに行ってみると、恐ろしい程沢山の商品があり充実している。

それを見て納得した、田舎の生活には必要なものが沢山あるのだと実感する。


ムカデ用のスプレーは一瞬で凍らせてしまう優れ物だった、蜂用のスプレーも掛けると蜂は出て行ってくれた。

それでも夜に窓を見るととんでもない大きさの蛾がへばりついてたりする。

解っていてもビクッとしてしまう。

自然はすごい、色んな意味で凄いと思い知らされるのだ。

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