dorse AI

あさひ

 一つの物語

 電脳世界という電子とデータの集まりは

今では世界そのものと扱われる。

 現実世界は近未来において

データとプログラムに支配された。

 世界は電脳の中でしか生きれなくなったのは

もう数十年前からだろう。

 電子とプログラムに置いて

精神とデータが同じものという論文が出てから

すぐにその世界へと変わった。

 しかしある問題が生じた

それは遺物であるハッキング系統やスパイワーム

人間が作ったいわばクリーチャー《異形》と言われる

最悪の遺物である。

「食われたくない……」

 そんな言葉も通常になった

当たり前だ。

 この電脳世界では

プログラムを喰らうデータは人間という

データも喰らうのだから

普通なのだろう。

 電脳世界に入ってから

数週間後に現実に戻るのは不可能という

データバグも判明した。

 前置きはここまで

私の生活をお見せしようかな

名前は《フィル》でも

本名は譜要瑠子ふいりるこ

そんな感じである。


 日差しは強くない

てか幻想の太陽にそこまでの効力はない。

「なんで無駄に明るいのかな?」

「そうだよねぇ」

 隣から声が聞こえた

少女のようで機械的な人工知能みたいだ。

「なんでいるの?」

「僕は管轄の人工知能だからね」

 執事のような小さな女児が

大人のような口ぶりで話し始める。

「姿とか変えられないの?」

「君は現実世界で幼女というカテゴリーを見ていたじゃないか」

「なんで知ってんの?」

 どうやら調べていたらしい

閲覧データを勝手に見られた。

「じゃあ好きなアニメのキャラなの?」

「違うよぉ」

 駄々を捏ねていると

さらに子供に見えてくる。

「とりあえずご飯が食べたいんだけど……」

「無理だね」

「そうだよね……」

 ここは電脳の世界だから

当たり前だろうと

不満そうな顔を向けられた。

 電脳世界に味というモノを忘れたのはなく

複雑すぎて電脳で再現できない。

「ミルクティーとかチーズケーキが懐かしいなぁ……」

「甘いものばっかだね」

 頭を使うと甘くてたんぱく質が

あると助かるのかは別で

栄養素と味だ。

 チーズや牛乳といった

乳製品と糖質は短絡的である。

「じゃあ今はどういう原動力なの?」

「簡単だね」

 ふっふっと自慢げに

ちびっこ人工知能は探偵の振りを始めた。

「経験こそがデータと言うご飯だねぇ」

「経験? 人生的なもの?」

「ちなみに肉体との経験は無意味だよ」

 肉体との経験と頭に逡巡した

少し赤くなる自分にまだ大丈夫だと認識する。

「可愛いねぇ? お姉さぁんっ」

「なんのモノマネ?」

「君がチャットで……」

「うぁあああぁっ!」

 慌てて口を閉じさせるために

声を出しながらベットからちびっこに向かった。

「どうしたのぉ? 恥ずかしい?」

 あまりに純真な悪魔だ

若干にも怖いというか辛い

子供の中に大人並みの知能が詰まっている。

「中身は大人で見た目は子供かよ」

「なんか言った?」

「なんにもないよ」

 咄嗟に出た言葉に

隠し事が向いていない

それ故に嘲笑をぶつけられた。

「じゃあ世界の状況を言うよ」

「あっ! 忘れてた……」

 この世界では

眠っている間に書き換えられることが多々ある。

 だからこそ

世界の状況へのアンテナがないと

死にすら直結する。

「今日は近隣にワームが二体とデータ保管庫の消失だね」

「また不利になったのかぁ」

 項垂れながらも

生きるためにワームを見に行くことにした。

「武器の携帯は忘れてないよね」

「そうだね」

 スパイワームは文字通り

食い漁る害虫スパイワームである。

 見つかれば殺されるというより

お腹の中だろうな。

 データを暗号化すると

暗号のプログラムが代わりに消えてくれる。

「武器と言うよりバリアだね」

「軟弱ものだね」

「そうだねぇ」

 弱いと言われるのが

すごく楽で良い。

「頼らないよね? クソ人工知能さん」

「当たり前だろ? 弱小データ風情がさ」

 罵り合うのが嬉しいというのは

現実ではなかったのだ

てか友達いないからだろう。

 近隣にと言うが

この世界においての近くは

すごく遠いのだ。

 軽く現実で言うところの

何十キロはある

なのでデータならではのワープを使う。

 

 このプログラムを中断します

データの継続不可能

甚大な影響を受けたため強制終了します

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 dorse AI あさひ @osakabehime

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