第36話 夏の合宿 腐りかけ
午後の1年生による模擬練習試合が終わった。
ビンタ事件があった後なので皆はヒソヒソと話していた。
敦「一輝、大丈夫か?腹蹴られたんだって?」
一輝「うん、僕は大丈夫。その後監督がやり返してくれたから 」
伊沼「しっかし、前から思ってたけど監督バリこえーな」
井宮「いや、それな。恐すぎてチビりそうやったもん笑」
敦「正直、島崎先輩がそこまでするとは思わなかった」
伊沼「確かに、いつもネチネチ人の事言うだけだったのに」
皆が疲れながら合宿に帰った。
島崎先輩は種美先輩に肩を組まれていた。
島崎先輩「種美先輩、とりあえずやってやりました...」
種美先輩「あ?テメー舐めてんのか。バレないようにって言っただろうが...テメーもシバくぞ?」
島崎先輩「ひぇ!すいません!!」
種美先輩「ばか、テメー声が大きいだろ。後で覚えてろよ...部屋にこい...」
一輝は2人の様子をそっと見ていた。
1年は夕食の準備をしていた。
一輝「敦君、種美先輩と島崎先輩がヒソヒソ話してたよ」
敦「ほっとけ、関わるとろくな事にならない。それよりも一輝は岡本先輩とか守道先輩に好かれることだけ考えとけば」
一輝「それもそうだね。守ってくれそうだし...」
敦「ばーか、自分の問題は自分で解決しろよ。先輩が助けるわけないよ」
一輝「そんな~、敦は助けてくれるよね?」
敦「本当にヤバかったらな...」
先輩方がぞろぞろと食堂に入ってきた。
準備も終わっていて後は監督を待つだけだが...
鏡越しに監督の姿があった。
場の空気は一層重くなった。
監督が扉を開けて椅子に向かい座った。
ぎしっと音と共に島崎先輩がびくついていた。
数分ほど沈黙の空気が続いた。
するとがらがらの野太い声で「食べないのか?」
と村雨キャプテンの方向を向いた。
村雨キャプテンは鳩に豆鉄砲を食らったような顔をして、「い、頂きます」
と挨拶をした。
皆はズレながらも頂きますと挨拶をした。
そして黙食が続いた。
緊迫の空気、なにか悪いことをしたようなあの重い空気。カチャカチャと食器をつつく音が響いた。
誰一人喋ることはなかった。
そして皆が食べ終えるとごちそうさまでしたと挨拶を済ませた。
そして監督が「1時間後にミーティングやるから皆、茶会室に集まったくれ。」
1年達は皆片付けをしてお風呂に入った。
そのあとにミーティングを行い各自部屋で過ごすことに。
先輩方は部屋でゆっくり過ごした。
ある人物を除いては。
お風呂に行く途中、島崎先輩が一階に居るのが見えた。1年は3階、2年は2階、3年は1階と相場が決まっていた。
一輝「なにしてるんだろう?」
少し気になったがお風呂を先にした。
部屋の5人のお風呂に入り談笑をして一輝が先にお風呂を出た。
そして島崎先輩が気になり1階に向かった。
そこは50mほど長い廊下が続いていた。各階もそのような感じだ。
横手に自販機などが置いていた。
そして廊下を歩くと106号室に耳が止まった。
扉に耳を付けると音が聞こえた。
殴る音に少々の悲鳴。
島崎先輩「うっ、うぐっ!!」
ドス!!ドスッ!!
まるでなにか口に詰められているような詰まった声だ。
種美先輩「ひゅー、楽しいね。」
飯野先輩「その辺にしとけよー、ちょっとジュース買ってくるわ」
一輝の心の声「ま、まずい。早く逃げなきゃ!!」
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